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イスラエル・ハマス戦闘

パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルへの戦闘を開始しました。

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国連総会がパレスチナ加盟支持の決議案を採択 安保理に再検討を要請

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ニューヨークの国連本部=2023年7月3日、八田浩輔撮影 拡大
ニューヨークの国連本部=2023年7月3日、八田浩輔撮影

 国連総会(193カ国)は10日、パレスチナの国連加盟を支持し、加盟勧告を求める決議案を否決した安全保障理事会に再検討を求める決議案を賛成多数で採択した。投票した加盟国のうち日本を含む143カ国が賛成、米国やイスラエルなど9カ国が反対、25カ国が棄権した。国際社会の総意が示された形だが、正式加盟には安全保障理事会による勧告が必要だ。常任理事国の米国の反対が続く限り、見通しはたたない。

 安保理では4月、パレスチナの加盟勧告を求める決議案が採決にかけられたが、米国が拒否権を行使して否決された。

 総会の決議案はアラブ諸国を代表してアラブ首長国連邦が提出した。パレスチナは国連憲章に基づく国家としての加盟資格を有し、国連加盟が認められるべきだと明記。パレスチナ国家の樹立を前提とする「2国家解決」への揺るぎない支持を確認した。米国の拒否権行使で安保理の勧告が妨げられたことに「深い遺憾と懸念」も示した。

 また決議の付属文書では、パレスチナが国連総会で中東問題以外でも発言することを認めるなどの「特権」も認めた。ただし、「例外的に」と強調されており、外交筋は「台湾の加盟問題を抱える中国などへの配慮だ」とみる。

 米国のウッド国連次席大使は投票後の説明で「2国家解決」への支持を強調しつつ、国連の場ではなく「当事者間の直接交渉を通じて達成されるべきだ」とする従来の主張を繰り返した。米国連代表部は「安保理で再検討しても、同じ結果が予想される」としており、拒否権の再行使を示唆している。

 欧州諸国は対応が割れ、英国やドイツなどは米国と同様の理由で棄権する一方、フランスやスペインなどは賛成に回った。日本の志野光子・国連次席大使は「イスラエルとパレスチナは共に、平和的かつ独立した国家として存在する権利がある」と賛成理由を語った。米国の同盟国である韓国や豪州も賛成した。

 パレスチナは2011年9月に正式加盟を申請した。当時も米国の反対により安保理での審議は棚上げにされ、代替策として12年の国連総会で「オブザーバー国家」に格上げされた。パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘による人道危機が深刻化する中、24年4月に加盟の再検討を要請した。【ニューヨーク八田浩輔】

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