医師と機器メーカー、「癒着」が生まれる理由 東京労災病院汚職

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浅沼雄太容疑者が整形外科副部長を務める東京労災病院=東京都大田区で2024年4月19日午後3時4分、森田采花撮影
浅沼雄太容疑者が整形外科副部長を務める東京労災病院=東京都大田区で2024年4月19日午後3時4分、森田采花撮影

 医療機器の選定を巡って、東京労災病院(東京都大田区)の医師がメーカー側から現金を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された事件があり、医師は10日、警視庁捜査2課に再逮捕された。「大病院」の水面下で起きる汚職事件は後を絶たない。なぜ癒着は生まれてしまうのか。

収賄容疑で整形外科副部長を再逮捕

 「良くも悪くも際立った評判は聞かなかった」。東京労災病院のある職員は、収賄容疑で再逮捕された浅沼雄太容疑者(41)=東京都大田区大森南5=の印象をそう話した。

 北九州市の産業医科大を卒業した浅沼容疑者は、整形外科医として医療の現場に入った。東京労災病院で勤務を始めたのは2013年。21年4月には整形外科副部長に昇進した。

 一方で東京労災病院では18年から、ある変化が起きていた。今回、贈賄容疑で再逮捕された医療機器メーカー「HOYAテクノサージカル」(東京都新宿区)の金属製インプラントを使用する割合が、この年から急に増え始めた。

 警視庁は、この変化には浅沼容疑者が関係しているとみる。捜査幹部は「6年前ごろから浅沼容疑者と贈賄側メーカーは癒着していたのではないか」と話す。

 医師と医療機器メーカーを巡っては、各地で医師が収賄容疑で逮捕されている。警視庁は23年に国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の医師を、愛知、三重両県警は21年に三重大医学部付属病院(津市)の元教授を逮捕した。

ポイント制に同業者「聞いたことない」

 それぞれ医師とメーカー側の距離が近づきすぎていたとみられるが、東京労災病院の事件で、贈賄側のテクノ社が浅沼容疑者に持ちかけたのは「ポイント制」だった。

 自身や同僚が…

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