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「健康診断と人間ドックの違い」って何?両方受診することはできるの?医師が解説!

 更新日:2024/05/07
「健康診断と人間ドックの違い」って何?両方受診することはできるの?医師が解説!

健康診断と人間ドックの違いとは?Medical DOC監修医が健診・特定健診と人間ドックそれぞれの目的・検査項目や費用・見つかる病気等を解説。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

健康診断と人間ドックの違いとは?

健康診断と人間ドックは、どちらも私たちの健康状態をチェックするために検査を行うという目的は同じですが、目的や内容に違いがあります。
健康診断は、労働者の安全と健康を守るために法律で義務付けられていますが、検査項目は基本的な健康状態をチェックする程度です。
一方人間ドックは、健康診断より詳細な検査を行えるため、将来的な病気の発症リスクなども把握できます。
その他に、費用面も異なり、健康診断は無料~数千円で受診できるのに対し、人間ドックは、男性の場合は1日の人間ドックの費用は3万円~5万円程度、女性では4.5万円〜7万円程度が相場で高額になります。

健康診断の目的と検査項目

健康診断の目的と検査項目

健康診断は、個人の健康状態を把握して、病気の早期発見や予防を目的としており、一般健診と特定健診に分けられます。これらの健診は下記のようにそれぞれ目的・主な検査項目・費用の目安などが異なります。

健康診断の目的(一般健診・特定健診)

健康診断は自分自身の健康状態を把握し、病気の兆候がないかを調べる目的があります。そんな健康診断は「一般健診」と「特定健診」にわかれます。
一般健診は、労働安全衛生規則に基づき、事業主が労働者に対して実施する健康診断で、職種・業務内容など関係なく、すべての企業・労働者が対象です。
一方、特定健診は、メタボリックシンドロームのリスクが高い人を早期に発見し、生活習慣病の予防および改善を目的として実施される健診で、40~74歳の保険加入者を対象に、2008年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて新たに導入されました。

健康診断の主な検査項目

健康診断では、以下のような検査が行われます。
・問診、診察
・視力、聴力
・身体測定(身長、体重、BMI、腹囲など)
・血圧測定
・血液検査(貧血検査、血糖値、脂質、肝機能など)
・検尿、検便検査
・心電図
・胸部エックス線検査
・眼底検査  など

健康診断の費用の目安・保険適用

健康診断は治療を目的としていないため、基本的に保険適用されません。自由診療のため、医療機関によって詳細な費用は異なりますが、相場は5千円〜1万5千円程度です。しかし、健康診断後の再検査や精密検査、治療については保険適用となるため、受診の際には保険証が必要です。
労働安全衛生法によって会社に義務付けられているため、会社に義務付けられている健康診断はほぼ全額会社負担です。ただし、法定検査以外の項目を実施した場合には、受診者の負担になりますが、それでも数千円程度の負担がほとんどです。

人間ドックの目的と検査項目

人間ドックの目的と検査項目

人間ドックは、法的な義務ではなく、個人の意思や希望によって受診するものです。会社で受ける定期健康診断などとの大きな違いは、検査項目が多いことです。
その他にも、人間ドックの詳細は下記のようになっています。

人間ドックの目的

人間ドックは、病気の早期発見・早期治療だけが目的ではなく、病気を未然に予防し、健康を増進して、生涯の健康を守ることも重要な目的のひとつです。
なお、年齢や生活習慣などによって異なりますが、40代以降は健康診断で発見できない病気も増えるため、日本人間ドック学会では、人間ドックを「原則として1年に1回が望ましい」としています。

人間ドックの主な検査項目

人間ドックでは、以下のような検査が行われます。
・問診、診察
・身体測定(身長、体重、BMI、腹囲など)
・血圧測定
・血液検査(貧血検査、血糖値、脂質、肝機能、腎機能など)
・検尿、検便検査
・心電図
・胸部エックス線検査
・眼底検査  
・肺機能検査
・腹部エコー検査
・上部消化管検査
・大腸内視鏡(下部消化管内視鏡検査)
・マンモグラフィ
・婦人科検診
・前立腺がん検診
など
その他にも、腫瘍マーカーを血液検査で測定したり、全身のMRI検査を行ったりなど、各医療機関でさまざまな検査項目があります。その項目数は50~100項目となり、病院でさまざまなコースから選び、自分自身の希望によってオプションを追加します。
このように、人間ドックは検査項目が多いため、詳細に検査することができます。そのため、健康診断だけでは発見することが難しい病気を見つけることも可能です。また何よりも、自分自身が気になる場所をより細かく検査できるため、不安も解消できるメリットもあります。

人間ドックの費用の目安・保険適用

人間ドックは任意検査のため保険適用外で原則全額自己負担となり、その費用相場は3~7万円程度です。しかし、住んでいる地域や所属する健康保険協会または健康保険組合、契約している保険会社によっては補助金や助成金が受けられるため、それらを活用すれば費用負担を抑えることができます。
また、医療費控除の対象になる場合もあるため、確定申告のために領収書を保存しておきましょう。

健康診断でわかる病気・疾患は?

健康診断でわかる病気・疾患は?

ここではMedical DOC監修医が健康診断でわかる病気・疾患について解説します。

高血圧症

高血圧症は、血圧が持続的に高い状態のことです。血圧が高い状態が続くと、血管に大きな負担がかかり過ぎるため、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクが高くなります。
発症の原因には、遺伝的要因だけでなく、塩分の過剰摂取や運動不足など生活習慣の問題が挙げられます。治療には、食生活の見直しや適度な運動、場合によっては薬物療法があります。定期的な健康診断により血圧の異常が発見された場合は、内科や循環器内科の専門医の診察を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気で、血糖値が正常範囲を超える状態が特徴な疾患です。血液中のブドウ糖が過剰に増えることで、全身の血管が傷つくと考えられています。そのため、血糖値が高い状態が続くと心臓病、腎臓病、視覚障害などの深刻な合併症を引き起こす危険性があります。また、糖尿病のある人は、そうでない人よりも、10~20年間も早く動脈硬化が進むともいわれています。動脈硬化が進んだ結果、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、心筋梗塞や狭心症などの心疾患にかかるリスクが高くなります。
糖尿病は、遺伝や肥満、運動不足が主な原因ですが、適切な食事管理や運動、薬物療法によって管理することが可能です。糖尿病の疑いがある場合、内科や糖尿病専門医を受診しましょう。

脂質異常症

脂質異常症は、血中の脂質の中で特にLDL(悪玉)コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)の数値が異常に高くなる状態です。トリグリセライド(中性脂肪)は、運動や活動のための重要なエネルギー源であり、体温を一定に保ったりするのにも役立っていますが、増えすぎると体脂肪として蓄えられて肥満を招き、LDL(悪玉)コレステロールを増やしてHDL(善玉)コレステロールを減らします。
脂質異常症は、自覚症状もないため放置されがちですが、動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中のリスクを高めるため、早期に発見し管理することが重要です。
主な原因は肥満や遺伝、運動不足などで、食生活の改善や運動習慣の見直しが治療の基本となり、脂質異常が見つかった場合は、内科や循環器内科を受診しましょう。

人間ドックでわかる病気・疾患は?

人間ドックでわかる病気・疾患は?

ここではMedical DOC監修医が人間ドックでわかる病気・疾患について解説します。

脳血管疾患

脳血管疾患には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などがあります。これらはまとめて脳卒中とも呼び、脳の血管が詰まるか破裂することで発症します。これらは、人間ドックで行う「頭部MRI」「頭部MRA」「頸動脈エコー検査」などで早期発見できる可能性があります。例えば、症状のない脳梗塞(無症候性の脳梗塞)や、脳動脈瘤などを発見することで、重篤な症状が出る前に治療することができます。脳血管疾患は、高血圧、動脈硬化、喫煙、肥満などの方は危険性が高くなり、早期発見と迅速な治療が重要です。片方の手足の力が抜ける、言葉がうまく話せなくなるなどの症状がみられた場合は脳神経内科の専門医を受診しましょう。

心疾患

心疾患は、心臓に関わる一連の病気のことをいい、「虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)」「心筋疾患(肥大型心筋症や拡張型心筋症など)」「心不全」などがあります。人間ドックでは、「心電図(安静時心電図、運動負荷心電図、ホルター心電図など)」「超音波(心臓超音波、頚動脈超音波など)」「冠動脈造影CT」「心臓MRI」「心臓PET-CT」などで発見できるものもあります。
これらの疾患は、血管が詰まるか心臓の機能が低下することによって発症し、高血圧や高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、遺伝などが主なリスク因子です。
治療には、生活習慣の改善、薬物療法、場合によっては手術やカテーテル治療を行います。心疾患の症状としては、胸痛や息切れ、急な体重増加、足のむくみなどがあるため、これらの症状がある場合は循環器内科を受診しましょう。

がん

がんは、体のどこかに異常な細胞が無制限に増殖する疾患です。人間ドックでは、腹部超音波検査、胃内視鏡検査、骨盤内MRI検査、大腸検査(大腸3D-CT)、CT(頚・胸・腹部)、マンモグラフィーなどを行うことで、乳がん、大腸がん、肺がんなど、多くのがんを早期発見できます。がんの発症原因には遺伝、生活習慣、環境因子などがあります。手術、化学療法、放射線療法などの治療をおこなうのが一般的ですが、種類や進行度によって異なります。体重の減少や持続的な疲労感など、特に理由のない身体の変化が見られた場合は、まずは内科などの診療科を受診しましょう。その後、がんであった場合にはがんの種類に応じた専門医を紹介受診することになるかと考えられます。

健康診断で再検査・要精密検査と診断されたら?

健康診断の結果で「再検査」や「要精密検査」という診断をされた場合は、何らかの健康問題が潜在的に存在する可能性があることを意味しています。そのため、指定された医療機関で再検査や精密検査の予約を取って詳細を確認します。
検査後は、結果の確認と今後の計画について医師と相談します。診断に基づいて、治療が必要な場合は、治療を開始します。治療の必要がない場合でも、健康を維持するためのアドバイスを受けることができます。
ただ、再検査や要精密検査と診断されたからといって、必ずしも重大な健康問題があるとは限らないので、結果に対して過度に心配せず、まずは医療機関を受診することが最も重要です。

人間ドックで再検査・要精密検査と診断されたら?

人間ドックで「再検査」「要精密検査」と診断された後の流れは基本的に健康診断と同じく医療機関で検査や精密検査の予約を取って詳細を確認しましょう。ただ、人間ドックの検査項目によっては、受診した医療機関では検査できない可能性があるため、事前に検査が可能か確認することが重要です。
検査後は結果の確認と今後の計画について医師と相談した結果、場合によっては治療を開始します。

「健康診断と人間ドックの違い」についてよくある質問

ここまで健康診断と人間ドックの違いなどを紹介しました。ここでは「健康診断と人間ドックの違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断と人間ドックどちらかを受診した方がいいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

どちらを受診すべきかについては、個人の健康状態やリスク要因、そして健康に対する関心の度合いによって異なります。健康診断は基本的な健康状態のチェックに焦点を当てているため、特定のリスクがない健康な成人の方は健康診断の検査でも十分な場合が多いです。
一方、人間ドックはより詳細な検査を行うことができます。そのため、疾患の早期発見や予防に深く関心がある方、または特定の健康リスクを持つ方に適しています。結論として、どちらを受診するかは、個人の健康状態や年齢、家族歴などを考慮して決定することをお勧めします。

健康診断の代わりに人間ドックを受診しても問題ないですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

​​はい、問題ありません。人間ドックは健康診断よりも詳細な検査を含んでいますので、健康診断の代わりとして人間ドックを受診することは有効です。ただし、人間ドックは一般的に費用が高くなるため、費用面を考慮する必要があります。

健康診断と人間ドック、両方受診することは可能ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

はい、可能です。健康診断と人間ドックを組み合わせて受診することで、ご自身のより詳細な健康状態を把握できます。例えば、年に一度の健康診断で基本的な健康チェックを行い、数年に一度の人間ドックでより詳細な検査を受けるなどの方法が考えられます。

人間ドックを受診した場合、自己負担額はどれくらいでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

人間ドックの自己負担額は、受ける検査の内容や医療機関によって大きく異なりますが、一般的には数万円程度、高い場合だと数十万円にもなります。人間ドックは保険適用外の検査が多いため、事前に医療機関に費用を確認することが重要です。

健診は毎年受けていますが、人間ドックは何歳から何年置きに受診すべきですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

人間ドックの受診タイミングは、個人の健康状態やリスク要因によって異なりますが、一般的には30~40歳頃に初めて受診し、その後は2年に1回から5年に1回の間隔で定期的に受診するとよいのではないかと考えられます。特に病気の早期発見や予防に関心が高い方や、家族歴などによるリスクがある方は、より頻繁に受診することを検討すると良いでしょう。

まとめ 健康診断と人間ドックの違いは検査の範囲と目的

健康診断は基本的な健康状態をチェックし、法律で義務付けられた検査が中心です。一方、人間ドックはより広範囲かつ詳細な検査を行うことができるため、将来的な病気のリスクも含めて総合的に健康状態を評価できます。
この2つを比較すると、人間ドックは健康診断よりも高額な費用がかかることが一般的です。ただ、どちらも定期的な健康チェックを通じて、早期発見・早期治療を行い、健康を維持することが目的です。そのため、個人の健康状態や関心の度合い、経済的な余裕などによって健康診断と人間ドックのどちらを受けるか検討しましょう。

「健康診断・人間ドック」の異常で考えられる病気

「健康診断と人間ドックの違い」「健康診断・人間ドック」の結果から医師が考えられる病気は21個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器内科の病気

消化器内科の病気

呼吸器内科の病気

腎臓内科の病気

脳神経内科の病気

婦人科の病気

これらの疾患は一例ですが、実際にはそれぞれの患者さんの健康状態やリスク要因によっては、異なる疾患が予測される場合もあります。そのため、健康診断や人間ドックの結果を見て、少しでも気になることがあれば、専門医の診察や追加検査を受けましょう。

この記事の監修医師