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自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、清和政策研究会(安倍派)の政治資金収支報告書にパーティー券収入のノルマ超過分の収支を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた会計責任者兼事務局長の松本淳一郎被告(76)は10日、東京地裁の初公判で起訴内容を大筋で認めた。
パーティー券収入のノルマ超過分は安倍派から議員にキックバック(還流)されたり、議員が派閥に報告せずに事務所でプールしたりして裏金化されていたとされる。紺のスーツに朱色のネクタイ姿で出廷した松本被告は、還流分の不記載については「間違いない」と認めた。一方で、プール分については「認識していなかった」とはっきりした口調で述べた。
一連の事件では安倍派の国会議員3人と、志帥会(二階派)、宏池会(岸田派)それぞれの会計責任者ら7人の計10人が立件され、うち6人が公判請求された。正式裁判が開かれるのは松本被告が初めて。
起訴状によると、松本被告は2018~22年分の安倍派の収支報告書に、収入と支出をそれぞれ計約6億7000万円少なく記載したとされる。
特捜部は松本被告を起訴したものの、安倍派の事務総長経験者ら幹部議員については、松本被告との共謀が認められなかったとして、立件を見送っている。
事件をきっかけに、収支報告書の虚偽記載に対する議員本人の責任明確化や、政党から政治家個人に支出される「政策活動費」の透明化、パーティー券購入者の公開基準の引き下げに国民の関心が高まった。事件を受け、今国会では政治資金規正法の改正が最大の焦点になっている。【井口慎太郎】
政治資金パーティー裏金事件
自民党の安倍派、二階派、岸田派の政治資金収支報告書に、政治資金パーティーの収入がそれぞれ約6億7000万円、約2億6000万円、約3000万円少なく記載されたとされる事件。安倍派と二階派では議員側でパーティー券のノルマ超過分が裏金化し、党の調査では2018~22年、80人以上の収支報告書に不記載や誤記載があったとされた。党は39人の処分を決め、このうち塩谷立元文部科学相と世耕弘成前参院幹事長が離党勧告を受けた。党の6派閥のうち麻生派を除く5派閥は解散を決めた。
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