韓国大統領、日韓関係の未来志向を強調「忍耐するところは忍耐」

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記者会見する韓国の尹錫悦大統領=ソウルで2024年5月9日、ロイター 拡大
記者会見する韓国の尹錫悦大統領=ソウルで2024年5月9日、ロイター

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は9日、10日で就任2年を迎えるのに合わせて記者会見し、日本との関係について歴史問題などを巡る立場の違いに触れた上で「忍耐するところは忍耐しながら、向かうべき方向に進んでいく」と述べ、日韓関係を未来志向で進めていく姿勢を改めて示した。また、深刻な少子化に対応するため「低出生対応企画省」(仮称)を新たに設置すると発表した。

 尹氏は「北朝鮮の核問題への対応や経済協力のため、またインド太平洋地域で共有する課題で主導的役割を果たす上でも協力が必要だ」と日韓関係の重要性を強調。岸田文雄首相とは相互に信頼関係があるとも述べた。韓国内には尹氏の未来志向的な対日政策に対しては根強い批判もある。

 一方、尹氏は会見で韓国の出生率の低さが「国家非常事態」だとし、「克服するために国家のすべての力を総動員する」と強調。省の新設に必要な法整備に向けて、野党にも協力を求めた。具体的には、育児のための柔軟な勤務の制度化を進めるほか、国立の保育所を拡大し、子どもを持つ世帯の住居負担を「画期的に」減らすための対策も講じるという。

 韓国の2023年の合計特殊出生率は0・72(暫定値)で、経済協力開発機構(OECD)の全38加盟国の中で1に届かないのは韓国のみ。教育、労働、福祉分野を横断する政策立案を行い、出生率低下に歯止めをかけたい考えだ。

 尹氏が単独で記者会見するのは、22年8月以来、1年9カ月ぶり。就任1年では会見を開かなかったが、4月の総選挙で与党が大敗したことで、国民との対話姿勢を求める声が強まっていた。尹氏は会見冒頭で、「私と政府に対する叱責も謙虚な気持ちで聞く」と低姿勢を示した。【ソウル日下部元美】

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