<解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政難

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化学部門が入る北海道大理学研究院=札幌市北区で鳥井真平撮影
化学部門が入る北海道大理学研究院=札幌市北区で鳥井真平撮影

 北海道大の化学部門で、複数の教員が教授会による「追い出し行為」の被害を訴えている。その背景に、同部門が採用する「講座制」があると専門家はみる。

 関連記事は、以下のリンクからお読みいただけます。
 <前編>「まさか追い出し部屋に」北海道大准教授
 <後編>北海道大の教授会が「内部基準」作成
 <解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政難
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 日本の大学の講座制は明治時代に始まる。教授の専門分野の下、組織的に研究・教育を進めることが主な目的だった。

 しかし、人事や予算などの権限が教授に集中し、硬直的で閉鎖的な運用を招いている、と指摘されるようになる。自由な発想の研究を妨げ、若手研究者が育ちにくい土壌になるとも批判された。広島大の北仲千里准教授によると、教員間のハラスメントは「教授独裁型」の権力構造に起因することが多いという。

 こうした経緯から、2006年の大学設置基準改正で講座制は制度上なくなった。だが、講座制の採否は大学の判断に任されている。共同で研究を進めるスタイルが一般的な医学や化学分野などでは今も多くの大学に講座制が残る。

 欧米では既に講座制は廃止され、各研究者が独立して研究室を主宰し、自身の研究を進めることが一般的になっている。

ますます狭まるポスト

 大学の財政難も、旧スタッフの冷遇に拍車をかける。

 国立大が04年度…

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