7日の広島戦(甲子園)で阪神中野拓夢内野手(27)が2失策した。ともにやや不規則なバウンドだった。「普通にバウンドが変わったりしなかったら捕れる打球。ホームグラウンドだから、対応していかないといけない。跳ねた、跳ねてないを言い訳にはしない。練習するしかない」と反省した。

昨季、ゴールデングラブ賞に輝いた名手の珍しいミス連発を受け、岡田彰布監督(66)は「シートかぶせた後は気いつけなあかんねん」とだけ話した。

「シート」とは、内野にかぶせられる防水シートのこと。前日6日は早々に雨天中止。雨が降り続けたため、シートは長時間、かぶせられたままだった。

この巨大なシートは防水性が極めて高い。土が乾いた状態で敷くと、一切の水も通さない。すぐれものではあるが、逆に、土は「水不足」の状態に陥る。

整備を担当する阪神園芸はシートを敷く前に土を固める。シートをはがしたあとに整備カーが走るので、わだちが出来ないようにしている。つまり、あらかじめ固めた土が、さらに水不足で深部まで硬くなってしまう。通常よりバウンドが高くなり、イレギュラーも増える。岡田監督や平田ヘッドコーチを含め、阪神の歴代内野手はこの事情をよく知っている。かつては「シートを敷かないで」と要望する選手もいたとか。

内野手にとっては、水をしっかりと含んでいる土がベスト。クッション性が高まり、バウンドが安定する。ただ、その状態を常にキープできるわけではない。中野が言うように、土のグラウンドを本拠地としている球団の宿命といえる。7日は広島の遊撃矢野も微妙なイレギュラーバウンドをつかめず失策がついた。

馬場内野守備走塁コーチは「本当に難しい。だから毎日、練習でノックを打って、その日のグラウンドがどんなものかを確認しているんだよ」と説明した。試合前、バウンドを見極めるように何度もノックを受ける中野の姿があった。