特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

コロナ後遺症で慢性疲労症候群に 男子中学生「一生付き合う病気」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
ME/CFSの世界啓発デーに合わせ、シンボルカラーの青にライトアップされた建物=青森市で2017年5月12日午後7時52分、一宮俊介撮影
ME/CFSの世界啓発デーに合わせ、シンボルカラーの青にライトアップされた建物=青森市で2017年5月12日午後7時52分、一宮俊介撮影

 新型コロナウイルス感染症の後遺症が長引き、「筋痛性脳脊髄(せきずい)炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」と診断される人が相次いでいる。激しい疲労感や倦怠(けんたい)感などに襲われ、日常生活が困難になる原因不明の疾患だ。支援団体は「コロナ禍を機に患者は増えたとみられるが、理解は進んでいない。周知や診療体制の整備を急いで」と呼び掛ける。

44・8%がコロナ禍以降に診断

 支援団体「CFS支援ネットワーク」(支援ネット)によると、ME/CFSは疲労感や倦怠感だけでなく、微熱やリンパ節の腫れ、頭痛、筋力低下、思考力・集中力低下などの症状が6カ月以上続く難治性疾患。しかし、難病法が定める「指定難病」や障害者総合支援法の対象にはなっていない。1990年に第1号が報告された日本の患者数は12万~36万人に上ると推計されるが、国内の専門外来は約10カ所しかなく、疾患への理解促進と診療体制の整備が課題となっている。

 患者の実態を具体的に把握しようと、支援ネットは2023年1~2月、ME/CFSと診断されたり症状が疑われたりしたことがある人を対象にインターネットでアンケート調査を行い、220人から回答を得た。そのうち、確定診断を受けた165人に診断時期を尋ねたところ、44・8%の74人がコロナ禍以降の20~23年と答えた。

 また、発症のきっかけ(複数回答可)を「過労」「人間関係等のストレス」など12の選択肢を示して全員に尋ねたところ、「新型コロナウイルス感染症」が選ばれた件数は38件と回答者の18・5%となった。

 また、現在治療を受けている診療科(複数回答可)を16の選択肢を示して聞いたところ、「ME/CFSを専門にしている診療科」との回答が58件と最多だったものの、回答者の31・0%にとどまった。通院にかかる片道の所要時間で「1時間以内」と答えた人も40・8%と半数以下で、多くは治療のために長時間移動を強いられていた。

後遺症患者の10%は診断基準を満たす?

 ME/CFS患者の診療にあたる愛知医科大医学教育センターの伴信太郎・特命教育教授によると、新型コロナの後遺症患者のうち約10%はME/CFSの診断基準を満たすと推定され、米国では新型コロナ感染との関連を研究する動きもある。新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行した23年5月8日時点の国内の累計感染者数は計約3380万人で、その後も増えていることから、ME/CFS患者も相当数に上る可能性がある。

 しかし、ME/CFSの診断を確定するには、…

この記事は有料記事です。

残り1109文字(全文2165文字)

【時系列で見る】

関連記事

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月