ガチャッと回せば骨格標本、リアルに手近に 開発の原点は「愛」

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(左から)キリン、カバ、ゾウのカプセルトイ=一般社団法人「路上博物館」提供
(左から)キリン、カバ、ゾウのカプセルトイ=一般社団法人「路上博物館」提供

 博物館をあなたの手元に――。一般社団法人「路上博物館」(東京都文京区)が4月から動物の頭骨標本を精密に再現したカプセルトイ「骨ガチャ」の販売を始めた。実際の標本を再現したカプセルトイは珍しく、担当者が1年がかりで全国の動物園や博物館を回ってデータを収集した。小さなおもちゃには、博物館愛にあふれる大人たちの切なる願いが込められている。

あふれる博物館愛

 路上博物館は「博物館はもっと面白い」をビジョンに掲げ、理学博士とシステム開発会社社員が2020年に設立した。博物館といっても見学施設があるわけではなく、全国の動物園などで標本レプリカを使った出前授業などを展開する。

 博物館や自治体などに出向いて収蔵資料のデジタル化にも取り組むが、代表の森健人さん(40)は「収蔵庫に保管されたまま一般観覧ができない資料も少なくない」と話す。今回、カプセルトイを考案したのは「多くの人に標本に興味を持ってもらうことで、多種多様な標本を自由に見られる未来が来てほしい」との思いからだった。

アミメキリンの「ケニヤ」の頭骨を3Dスキャンする森健人代表=一般社団法人「路上博物館」提供
アミメキリンの「ケニヤ」の頭骨を3Dスキャンする森健人代表=一般社団法人「路上博物館」提供

 製作には天王寺動物園(大阪市)と群馬県立自然史博物館(群馬県富岡市)、池田動物園(岡山市)の協力を得た。約1年かけてさまざまな角度から頭骨を数百枚撮影し、3Dデータを作成。実物同様、ゆがみや欠損も精密に再現した。

 全6種類で大きさは約5センチ。当時、雄では国内最高齢として人気だった天王寺動物園のアミメキリン「ケニヤ」や、池田動物園の雌のアジアゾウ「メリー」などの骨格を模している。顎(あご)の関節を動かすことができ、歯のすり減り方やキリンの額のこぶなども観察できる。

 森さんは「ぜひ触り倒してもらって標本の楽しさを知ってほしい。実際に博物館や動物園に足を運ぶきっかけになれば」と語る。

 カプセルトイは1個500円。収益の一部は動物園などに寄付される。全国のカプセルトイコーナーや路上博物館のオンラインショップ「かねろ」で販売している。【面川美栄】

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