「スト参加で懲戒」は不当労働行為? 重鎮・棗弁護士の見解は

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棗一郎弁護士=東京都千代田区で2023年7月1日、幾島健太郎撮影
棗一郎弁護士=東京都千代田区で2023年7月1日、幾島健太郎撮影

 昨年末に乗務員らがストライキをして欠航が相次いだ格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパン。乗務員らが3月に再びストの構えを見せると、同社は「正当性のないストには懲戒処分を含め対応を検討する」と通告。最終的に全面ストは実施されずに事態は収束した。日本労働弁護団幹事長と常任幹事を長く務め、2008年の「年越し派遣村」の開設に尽力するなど、労働問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士の一連の騒動に対する見解は。【聞き手・藤沢美由紀】

 ――昨年末に実施したストで、乗務員らが加入する労働組合は「48時間前まで、もしくは前日午後6時まで」に実施の有無を通告する方針でした。3月にストを構えた際には「適切な時期に通知する」と期限を決めない姿勢に転じたところ、会社は前回の方針の踏襲を求めました。これが「懲戒処分」の根拠となりましたが、労働協約で定められたものではありません。

 ◆労組が会社側と結ぶ労働協約などで、ストの通告の期限を定めることはあります。例えば、百貨店大手「そごう・西武」の労組が昨年8月に実施したストでは、48時間前までに通告すると労使で取り決め、労働協約で定めていました。

 しかし、ジェットスターのように、労働協約で期限を定めていない場合、会社側への通告をどうするかは労組側の自由です。会社側の主張に応じないために懲戒処分を持ち出すのは、脅しや妨害、スト潰しと言えるでしょう。労働組合法7条3号で禁止されている労組への「支配介入」、すなわち「不当労働行為」に当たります。

 ――会社側は「公共交通機関という公益事業者として客に迷惑をかけてはならず、(代替要員を確保して)便の運航に影響がないよう準備する必要がある」などと説明しています。

 ◆「公益事業」とは、労働関係調整法で「公衆の日常生活に欠くことのできないもの」とされ、運輸事業もその一つに挙げられています。

 ただ、ストに関して同法で定められてい…

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