宇宙開発で存在感を発揮するスイス 背景に大学の研究力

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木星衛星を観測する探査機「JUICE」の研究開発を担ってきたベルン大学の研究者=スイス・ベルンで2024年4月17日午前10時1分、田中韻撮影
木星衛星を観測する探査機「JUICE」の研究開発を担ってきたベルン大学の研究者=スイス・ベルンで2024年4月17日午前10時1分、田中韻撮影

 アルプスの雄大な自然や金融都市。そうしたイメージを持つスイスだが、実は国を挙げて宇宙開発に力を入れていることをご存じだろうか。資源に乏しく日本と境遇の似た小国スイスが「宇宙立国」を目指す原動力は、大学を中心とした高い技術と研究力だった。

学生主導の野心的な研究

 4月中旬、在日スイス大使館が主催するメディアツアーに参加した。まず訪ねたのはスイス連邦工科大(ETH)チューリヒ校。アインシュタインらを輩出した欧州屈指の名門だ。

 キャンパス内のある研究室には、動物や昆虫の形を模した、いっぷう変わったロボットが並べられていた。いずれも惑星や衛星に着陸させ、探査させるために開発しているロボットだという。人工知能(AI)で動物の多様な動きを学習させるのが特徴で、想定外の障害物などを乗り越えて進むことを目指している。

 このうち学生研究チームが開発する小型ロボット「スペースホッパー」は、惑星の表面を跳びはねながら移動する。跳躍に最適化するため、三角柱のボディーに3本の脚を配した。ヤモリのように壁面をはうものや、犬のように四肢で走れるものなどユニークなロボットも宇宙に飛び立つ日を待つ。研究室を率いるマルコ・フッター教授は「今後ますます活発化していく宇宙活動を支えていくために、探査ロボットの需要は高まっていく」と話した。

 研究室には日本人留学生も在籍していた。…

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