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イスラエル・ハマス戦闘

パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルへの戦闘を開始しました。

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イスラエル、ラファ侵攻継続 ハマスの「休戦案」は「要求と違う」

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ハマスの休戦案受け入れが報じられ、喜ぶガザの人たち=パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで2024年5月6日、ロイター 拡大
ハマスの休戦案受け入れが報じられ、喜ぶガザの人たち=パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで2024年5月6日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を巡り、ハマスは6日、仲介国から提示されたイスラエルとの休戦案を受け入れると発表した。一方、イスラエル首相府は声明で、ハマスが受け入れた休戦案は「イスラエルの要求からかけ離れている」と指摘し、ガザ地区最南部ラファでの軍事作戦を継続すると表明。同日夜にはラファ東部で新たな軍事作戦を開始した。

 休戦合意に向けた交渉は7日、エジプトの首都カイロで再開される予定だ。仲介国のカタールやエジプトのほか、イスラエルも協議に出席することを決めた。ただ、双方の隔たりは依然残っており、早期に合意が締結されるかは見通せない状況だ。

 ハマスの声明や中東メディアなどによると、休戦案はカタールなどが4日の協議で提示した。3段階に分けて休戦を実施する内容で、第1段階で約40日の休戦期間を設け、ハマスが一部の人質を解放する一方、イスラエルが拘束中のパレスチナ人を釈放。第2段階では、残りの人質を解放し、恒久的な停戦を実施するとともにイスラエル軍の完全な撤退を行う。第3段階ではガザの復興を開始するほか、イスラエルがガザの封鎖政策を中止する。

 ハマス幹部はAFP通信に対し、「ボールはイスラエル側のコートにある」と語り、休戦が実現するかは「イスラエル次第」との見方を示した。一方、中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」は、ハマスが受け入れた休戦案について、イスラエル側の提案を仲介国が修正したもので、イスラエル側の承認を得ていなかったと報じている。

 イスラエルの戦時内閣は6日、休戦案を詰めるため、仲介国との交渉に代表団を派遣するとともに、ハマスに「軍事圧力をかける」ため、ラファでの軍事作戦を続けることを決めた。イスラエル軍は同日夜、住民に退避を勧告したラファ東部で攻撃を開始。7日には戦車などを侵攻させ、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所を制圧した。軍によると、ハマスが5日、ラファ検問所に拠点を置き、数キロ離れたガザ地区南東部のケレム・シャロム検問所を攻撃、イスラエル兵4人が死亡したため、ラファ検問所のガザ側を支配下に置いたという。

 ラファ検問所は昨年10月の戦闘開始以来、人道支援物資の搬入や援助関係者の入境などに使われてきた。国連人道問題調整事務所(OCHA)は7日、検問所が制圧されたことで、国連によるガザ地区への援助が遮断されたと明らかにした。

 イスラエル軍はラファでの軍事作戦は「限定的」だとしているが、国際社会はラファ侵攻にともなう人道危機の拡大を強く懸念している。

 これまでの休戦交渉では、恒久的な停戦を求めるハマスと「ハマス壊滅」を掲げるイスラエルとの隔たりが埋まらず、4、5日にカイロで行われた協議も難航していた。ハマスはラファへの攻撃に反発しており、交渉の先行きは見通せない。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳】

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