東京ヴェルディがFW木村勇大(23)の劇的な決勝ゴールでジュビロ磐田を3-2と下し、今季のホーム初勝利を挙げた。

サポーターが声を張り上げて歌う「カモン、ヴェルディ!」のリズムに乗った。追加タイムの後半54分、染野が中央の森田へパスを送る。受けた森田はすかさずスルーパスを送る。受けた木村は左ニアポスト際まで持ち込み考えずに無心で打った。左足で放ったボールは磐田の守護神、川島の体に当たりながらゴールイン。まさに力でねじ込んだ一撃だった。

J1のホーム戦で勝利するのは08年10月18日の大宮戦以来、15年6カ月18日ぶり。ゴール裏のサポーターのもとに走った木村は「相手のPKが失敗して自分たちにツキがあるかなと思った。その中で(相手は)1人少ない状況だったので、ここで勝ち切らないとダメだなと思っていました。ソメとコウキのパスから自分のところに来た。チームを支えている2人から来たパスだったので、ここで決めないといけないと思い切って打ちました」

前半41分にはシュートのこぼれ球を豪快に蹴り込み、クラブのJ1ホーム400得点も記録するなど2得点の大活躍。「(京都からの)レンタルですけど、心もすべてヴェルディの選手だと思っています。その中でチームにメモリアルなゴール決められて良かったです」と喜んだ。

食べることが何より大好き。「食べ過ぎてしまう。サッカー選手としてはありえない」と笑う明るいキャラクター。試合となれば強いフィジカルを前面に押し出し、相手をなぎ倒さんばかりの力強いドリブル突破でチームに闘争心をたきつける。背中で語れる選手。その持ち味が存分に出たゲームだった。

劇的な勝利ではあっが、試合は前半に2点をリードしながら追いつかれ、さらに相手のPK失敗があり、さらには終盤に相手の退場者も出た。

城福監督は「ホームで勝ててなかったので、来て下さったサポーターと喜べたのは良かった。ただ反省点が多いというか、2-0にして、後半の入り方、ゲームの進め方が悪かった。意思統一が足りなかった」と自嘲気味に話した。それでも「相手が10人になった時に誰一人として油断しなかった」(城福監督)と言う通り、最後まで集中力を切らさず、終盤は反転攻勢。ドローで終わらせず、勝ち切ったことは何よりの収穫だった。

ヒーローとなった木村は「厳しい戦い中で着実に勝ち点を積み上げてチームとして成長できていると思う。これからも勝ち点を積み上げていきたい」と宣言。今季初の連勝で9試合負けなし(3勝6分け)と上昇機運に乗っている。【佐藤隆志】