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米大統領選2024

2024年の次期米大統領選の動きをリポート。

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賃上げなき庶民を襲う「インフレ禍」 果実を手にできぬ米国の人々

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高齢者専用アパートのロビーで無料で配られる食料品を受け取る住民(左)=米東部メリーランド州ボルティモアで2024年2月12日、大久保渉撮影
高齢者専用アパートのロビーで無料で配られる食料品を受け取る住民(左)=米東部メリーランド州ボルティモアで2024年2月12日、大久保渉撮影

 11月の米大統領選まで半年。米経済は好調だ。個人消費は旺盛で企業業績も伸びている。背景にあるのは労働者の賃上げだ。米国では2023年に自動車や運輸、航空など幅広い業界の労働組合がスト権を確立し、大幅な待遇改善を実現した。だが、誰もがその果実を手にできたわけではない。【ディアボーン(米中西部ミシガン州)で大久保渉】

全4回の4回目/1回目2回目3回目

工場近くの飲食店は閑古鳥

 大規模ストライキの末に4年で25%の賃上げという歴史的勝利を収めた全米自動車労働組合(UAW)。米自動車大手フォード・モーターで働くアンソニー・バルガスさん(39)が念願のマイホームを買ったように、賃上げの恩恵を受けた労働者たちが米国の強い個人消費をけん引している。

 ただ、バルガスさんが住むミシガン州の自動車関係の労働者は110万人で労働人口全体の2割程度に過ぎない。安い労働力を求めて製造業が中国やメキシコへ海外移転した傷痕は今も深く残り、幹線道路沿いの空き店舗など「ラストベルト」(さびついた工業地…

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