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ガラガラだった志摩スペイン村が客急増でディズニーRより待ち時間長く…なぜ

文=Business Journal編集部、協力=中島恵/明治大学兼任講師
ガラガラだった志摩スペイン村が客急増でディズニーRより待ち時間長く…なぜの画像1
志摩スペイン村の公式Instagramアカウントより

 閑散としすぎているテーマパークの代名詞だった志摩スペイン村(三重県)が今、客が急増してアトラクションの待ち時間が東京ディズニーリゾート並みの長さになっているとして話題を呼んでいる。なぜ志摩スペイン村は奇跡の復活を果たしたのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 志摩スペイン村は1994年に大手鉄道・近鉄グループが伊勢志摩国立公園内に開業。スペインの街並みを再現し、アトラクションやショーが楽しめるほか、レストラン、ショップ、ホテルも備わった総合アミューズメントパークだ。本場スペインから来たパフォーマーたちによる本格的なショーや、「スチームコースター アイアンブル」「ピレネー」など絶叫系も含む各種アトラクション、クオリティの高さに定評がある充実したレストラン群、各種グッズを販売するショップなどがウリだ。

 開業はバブル崩壊直後という悪いタイミングとなったものの、1年目の来場者数は目標の300万人を大幅に上回る約426万人を記録。だが、その後は来場者数は低迷。場内の閑散ぶりがしばしば話題になり「なぜ潰れないのか不思議」といわれるほどに。志摩スペイン村もこれを逆手にとって

「待ち時間ほぼゼロ!アトラクションを好きな時間に好きなだけ乗り回せる!」

「1日何回乗れるか耐久レース!?」

「人が少ないから人の映り込みナシ!photo&movie撮り放題!」

「どこぞの施設ではありえない2SHOTも撮り放題!」

など自虐的なPRを展開してきた。

<地方のテーマパークとしては異質なくらいキャストと飯の質がいい>

 そんな志摩スペイン村が今、多数の客が押し寄せて活況を呈しているという。特にこのゴールデンウィーク(GW)中はナイター営業(ナイトパレード・花火)や周央サンゴ×壱百満天原サロメとのコラボイベントなどが行われることもあり混雑が激しく、待ち時間が100分以上のアトラクションも発生。SNS上では以下のような声が寄せられている。

<待ち時間、ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アース(65分待ち)より志摩スペイン村のスプラッシュマウンテン(70分待ち)の方が長いだと…?>

<スペイン村を知っている人にしか伝わらないけれど、氷の城が40分待ちです。現場からは「異常」です>

<ピレネー70分待ち…?>

<素の疑問として、「あの客入りでどうやって運営続けてるんだろう…」と多くの地元民が思っていた志摩スペイン村がお客さんで混み合ってる>

<ここ一年で2回くらい行ったけど、マジで地方のテーマパークとしては異質なくらいキャストと飯の質がいい 特に飯はハズレがない>

<一時期の閑散ぶりを思い出すと、今の混雑は嬉しい悲鳴>

<子供と数回行って、クオリティーに比べて人が少なく不思議でしたが、今活況とのこと良かった。良質なものが生き残るのは良いこと>

良いサイクルに入っている

 テーマパーク経営に詳しい明治大学経営学部兼任講師の中島恵氏はいう。

「バブル期に近鉄グループが約800億円(うち200億円はホテル建設)をかけてつくったテーマパークということもあり、建物をはじめ施設としては非常に質が高く、決して実力がないわけではなかった。ただ、人口集積地から遠いというアクセス面の難があり、関西圏の人もテーマパークに行くとなると東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に流れてしまう。また、宣伝力が弱くて話題性に乏しいという点も重なり、人を集められない状況が続いた。

 来場者が増えるきっかけとなったのが、2022年からスタートした人気VTuber・周央サンゴとのコラボ。日本に『推し活』文化が定着したこともあり、おひとりさま客を含めて多くのサンゴファンが来場するようになり、アトラクションやサンゴとのコラボグッズ、フードなどの情報をSNS上で発信したことで、もともとスペイン村に備わっていた魅力が多くの人に伝わっていった。今の若者層は食べ歩きであるフードツーリズムを重視する傾向があり、特にサンゴさんがチュロスを絶賛したり、食べ物が非常に美味しく充実しているという評判が広まったことも集客を後押ししている。

 ちなみに一人で来場してアトラクションには乗らずにショップでサンゴ関連グッズを購入するという客も少なくないようで、今では“一人USJ”“一人ディズニーランド”という行動をする人が珍しくなくなったという消費者のトレンドも好材料といえる」

 追い風となっているのが、近鉄グループが志摩観光ホテル、賢島宝生苑、賢島カンツリークラブ、志摩マリンランドなどを展開する伊勢志摩エリアにおけるレジャー事業に力を入れ始めてる点だ。近鉄グループホールディングスは近畿日本鉄道沿線の重要観光地である伊勢志摩エリアの活性化に注力するため、23年に中間持株会社の近鉄レジャークリエイトを設立。地域と協働しながらレジャーをはじめとしたグループ事業の強化および連携を推進することで、エリア全体の魅力やブランド力の向上に貢献するとしている。

「近鉄は志摩スペイン村のパスポート引換券と近鉄電車のフリー区間(松阪~賢島)の乗り放題券、三重交通バスの志摩スペイン村までの往復乗車券などがセットになった『志摩スペイン村 パルケエスパーニャ・フリーきっぷ』や、志摩スペイン村のパスポートや近鉄電車・三重交通バスのフリー乗車券、伊勢神宮と伊勢志摩近鉄リゾート各ホテルを結ぶパールシャトルの乗車券、多くの店舗で特典サービスを受けられるパスポートが付いた『まわりゃんせ』を販売し、伊勢・鳥羽・志摩エリアの活性化につながる取り組みを行っている。地域経済に波及効果が出れば地域との連携も深まり、さまざまな面で協力を得られるようになり、それによって志摩スペイン村の集客力が高まれば地域に雇用が生まれるという、良いサイクルに入りつつある。

 今後、近鉄グループが宣伝に力を入れ、周辺地域と志摩スペイン村が一体となってさらに集客力を高めれば、新たなアトラクションの設置やショー・パレートの充実に投資ができるようになってくるだろう」(中島氏)

(文=Business Journal編集部、協力=中島恵/明治大学兼任講師)

中島恵/明治大学経営学部兼任講師

中島恵/明治大学経営学部兼任講師

修士(経営学)(明治大学)
2005年明治大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、2009年同博士後期課程単位取得満期退学、星稜女子短期大学(現・金沢星稜大学短期大学部)経営実務科専任講師、大阪観光大学観光学部専任講師などを経て2021年より現職。著書に『東京ディズニーリゾートの経営戦略(2013年)』『なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?(2017年)』『テーマパーク産業論 改訂版 日本編(2022年)』など、いずれも三恵社。
中島 恵公式ブログ

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