女優宮本茉由(28)を取材する機会に恵まれた。仕事の向き合い方について伺う中で、背筋が伸びる思いになった。

宮本は現在、シーズン2となるテレビ朝日系「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱」(毎週土曜午後11時30分)に新レギュラーキャストとして出演中。シーズン1から出演する高橋一生、橋爪功、本田翼らの中に1人新たに加入した。

同ドラマの特徴は会話劇。宮本は、せりふの言い回しに当初は苦戦したというが、安直に先輩役者にアドバイスを求めに行くことはしなかったという。「聞くことはないかもしれないです。というか聞かないですね」。今回の現場に限らず、能動的にアドバイスを求めにいくというタイプではない、という意味合いで表現した。背景には、誠実な信念がある。「皆さんが自分で経験して努力して積み上げてきたものなので。(相手から)教えてくださるとかでしたら、喜んで聞かせていただくんですけど、それを(自分側から)聞くっていうのはちょっと違うかなと」。まずは自分の目で見て学び、吸収していくタイプのようだ。

記者はこの言葉を聞いてハッとした。自分自身は、未経験や無知を理由に、安易に上司や先輩を頼りすぎていないだろうか。社会人の経験を重ねてきた反面、“慣れ”から来る怠慢がクセになっていないか。その取材の帰り道、仕事の向き合い方について考えてみた。情けないことに、思い当たる節ばかり。

会社員の仕事と、芸能界の仕事。全く違うようでも、相通じる点もある。時期はちょうど、街が桜に包まれる新年度だった。同世代で社会人の宮本の言葉が、なんだか染みた。襟を正さなければ…。始まりの時期、そう思えた巡り合わせに感謝した。【望月千草】