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ロシアのプーチン大統領は7日、通算5期目の就任式を迎える。新たに6年間の任期が始まり、その統治は四半世紀を超えることになる。ウクライナでの「特別軍事作戦」が終わらない限り、内政と外交の両面で軍事最優先の流れが続く見通しだ。【モスクワ山衛守剛】
モスクワ中心部で昨年11月から開催中の大規模展覧会「ロシア」。国内各地を紹介する中には、ロシアが2022年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州の占領地域のブースもある。4州の風景や産業、出身著名人などを紹介した展示を前に、露西部リペツクから訪れた女性(51)は「これらの地域は元々(帝政時代に)ロシア領だった。感動で涙があふれた」と語った。
プーチン政権は、反体制派への徹底した弾圧と欧米敵視のプロパガンダを通じて、対ウクライナ政策への異論を許さない空気を醸成している。3年目に入ったウクライナでの特別軍事作戦を巡っては、ロシア軍は東部で進軍を続けるほか、各地の電力インフラをミサイルや無人航空機(ドローン)で破壊するなど攻勢を強める。
勢いづくロシアでは、ショイグ国防相が露大統領選直後の3月下旬、14の師団と16の旅団を年内に新たに編成する計画を発表した。兵員の増強も進めており、国防省は4月3日、年初以降、10万人以上が契約兵として登録されたと公表した。
弾薬供給量は前年の25倍
兵器の増産も着々と進めている。特別軍事作戦で使われる兵器の9割を生産するとされる露国営軍需企業「ロステフ」の幹部は、タス通信が4月8日に公表したインタビューで生産状況を詳述した。22年と比べ、自走砲10倍▽けん引砲14倍▽迫撃砲20倍▽多連装ロケットシステム2倍――の増産を達成し、23年の弾薬供給量は前年の25倍になったとアピールした。
ロシアが軍備や兵員を増強する中、バイデン米政権は4月24日、ウクライナ支援に向けた約608億ドル(約9兆4000億円)の緊急予算を成立させた。米国内の政治対立で滞っていた軍事支援が再開する。これに対し、ペスコフ露大統領報道官は同日、露軍が優勢な現状に言及した上で、「数々の新たな兵器が前線の状況を変えることはない」と強気の姿勢を示した。
プーチン大統領は、攻勢の強化を指示すると同時に、今年に入り、たびたび停戦交渉に言及している。4月11日に同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際にも「平和的解決を諦めたことはない」と語った。その背景には、攻勢と交渉という二つの選択肢をちらつかせることで、抵抗を続けるウクライナの世論や後ろ盾の欧米を揺さぶる狙いがあるとみられる。
露外交アナリストのドミトリー・トレーニン氏は取材に対し、「西側諸国は今もロシアに戦略的敗北を与えようと努めている」と話し、欧米とロシアの直接的な衝突という「最悪の事態も否定できない」と訴えた。これは、欧米にウクライナ支援から手を引かせようともくろむ政権の意向に沿った主張とみられる。
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