俳優佐野史郎(69)が5日、公式サイトを更新し、この日に訃報が伝えられた劇団「状況劇場」の恩師、劇作家唐十郎(から・じゅうろう、本名大鶴義英=おおつる・よしひで)さんを追悼した。

佐野は「思いめぐることが多過ぎて、言葉にならない」と心境を告白。「唐さんの舞台を観たことで、状況劇場に入団したことで、そして退団後も交流させていただけたことで、多くのことを学び、導いていただいたことは間違いない」と記した。

また「戦後の上野の焼け野原の光景から世界を読み解き始めた唐さんのまなざしから学ぶことは、まだまだ多い」と功績にも触れながら「唐さん、今は、ただ、ゆっくりお休みください。そして、これからも、よろしくお願いいたします。」と呼びかけ、自身と唐さん、同劇団の俳優、大久保鷹とのスリーショットも公開した。

唐さんは、1963年に「シチュエーションの会」(64年に劇団「状況劇場」に改名)を立ち上げ特設の「紅(あか)テント」公演を国内外で続けた。ここで佐野や根津甚八さんや小林薫ら多くの俳優を輩出した。

唐さんは4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳。1日に自宅で転倒し、救急搬送されたという。

 

▽佐野のコメント全文

恩師、唐十郎の訃報が届く。

思いめぐることが多過ぎて、言葉にならない。

ただ、間違いなく、唐さんの舞台を観たことで、状況劇場に入団したことで、そして退団後も交流させていただけたことで、多くのことを学び、導いていただいたことは間違いない。

過ぎ去りし日は戻ることはない。

けれど、その過ぎ去りし日々あればこその今なのだと、何度も何度も思い知らされる。

 

20代の劇団時代に、ふとつぶやいた唐さんの言葉を思いだす。

「佐野が『少女と右翼』を読んでるんだよ」

戦後の上野の焼け野原の光景から世界を読み解き始めた唐さんのまなざしから学ぶことは、まだまだ多い。

唐さん、今は、ただ、ゆっくりお休みください。

そして、これからも、よろしくお願いいたします。