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公文書で巡る英国史

英国立公文書館には11世紀以降の貴重な資料が収蔵されています。古い文書や写真を基に、英国史の「裏側」に迫ります。

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公文書で巡る英国史

「助けてホームズさん!」 架空の名探偵への捜査依頼

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ロンドンのベーカーストリート駅前に建つホームズの像=2023年5月10日、篠田航一撮影
ロンドンのベーカーストリート駅前に建つホームズの像=2023年5月10日、篠田航一撮影

 ロンドンの英国立公文書館は、歴史的人物の資料を数多く所蔵している。だがすべてが実在の人物のものとは限らない。架空の人物にもかかわらず、まるで実在したかのような存在感を示す文書もある。

 英国立公文書館の資料の中から見つけ出した英国史のエピソードを、全4回にわたってお届けします。
 1回目 電文に残るタイタニックからのSOS
 2回目 シェークスピアの遺言に残る謎
 3回目 架空の名探偵・ホームズへの捜査依頼
 4回目 チャーチルが渡した1枚の紙切れ

 それが、医師で作家のアーサー・コナン・ドイル(1859~1930年)が生んだ名探偵シャーロック・ホームズだ。1887年に発表された第1作「緋色の研究」以降、ドイルは71歳で旅立つまでに計60作品(長編4、短編56)のホームズ物語を残している。助手ワトソンとのコンビで次々に難事件を解決するストーリーは、英国のみならず米国や欧州大陸で大人気となった。

 ホームズが各国語に翻訳された19世紀後半以降、欧州各地からは「事件を解決してほしい」と依頼する手紙がロンドンに届いた。ホームズは私立探偵という設…

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