劇作家唐十郎(から・じゅうろう)さん(本名大鶴義英=おおつる・よしひで)が4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳。1日に自宅で転倒し、救急搬送されたという。

唐さんが主宰する劇団唐組の公式ブログで発表され、通夜、葬儀は近親者のみで執り行うという。

唐さんはアングラ演劇の旗手と呼ばれ、状況劇場(88年解散)、劇団唐組を主宰し、屋外に設けた紅テントで、数々の芝居を上演した。「泥人魚」「少女仮面」「唐版・風の又三郎」など代表作多数。多くの演劇人が影響を受けている。

12年に自宅で転倒し、脳挫傷と外傷性脳内血腫で半年間入院。その後は舞台出演もなく公の場に姿を見せることも少なくなっていた。

19年には都内で行われる唐組公演を記念して座談会に出席し「座長の唐十郎です。このたびはこうやってもらい、随分照れるもんで」などとあいさつした。

◆唐十郎(から・じゅうろう)1940年(昭15)2月11日、東京生まれ。63年に状況劇場を旗揚げしたが、1作で解散。66年に状況劇場を復活させ、67年に看板女優だった李礼仙(麗仙)さんと結婚。88年に離婚して状況劇場も解散。89年に劇団唐組を旗揚げ。同年、再婚。69年「少女仮面」で岸田国士戯曲賞、82年「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞。12年に明大文学部客員教授に就任。長男は俳優大鶴義丹、次男は大鶴佐助。

◆アングラ演劇 60~70年代に席巻した小劇場運動で「アンダーグラウンド」の略。多くの演劇人に影響を与えた。寺山修司さんの天井桟敷、唐十郎さんの紅テント、佐藤信の黒テント、串田和美の自由劇場があり、代表的アングラ女優に李麗仙さん、新高恵子、吉田日出子、白石加代子がいる。

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