石原さとみ圧巻/二転三転する「正義」 記者が語る4月クールドラマ

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写真はイメージ=ゲッティ 拡大
写真はイメージ=ゲッティ

 民放キー各局が4月クールの連続ドラマを続々とスタートさせた。放送担当の記者3人(井上知大=30代、諸隈美紗稀、平本絢子=ともに20代)も、新作のチェックに余念がない。今回は、各局が特にしのぎを削る「激戦区」のプライムタイム(午後7~11時)の作品に注目。記者たちが気になった計5作の初回を対象に、見どころ(と、ちょっと首をひねる点)をあれこれ語り合った。各局の「自信作」、記者のイチオシはどれ?

見応えあり?テレ朝「Destiny」

 平本 まずは、テレビ朝日系の「Destiny」(火曜午後9時)から。永遠の友情を誓った男女5人に起きた悲劇を巡るサスペンスラブストーリー。

「Destiny」の一場面。主人公の西村奏(石原さとみ)=テレビ朝日提供 拡大
「Destiny」の一場面。主人公の西村奏(石原さとみ)=テレビ朝日提供

 諸隈 第1話を見た感じでは、私はこれが一番好き。過去の事件と現在がつながって真実が明らかになる構成はありがちだけど、見応えがある。とにかく主演の石原さとみの演技に圧倒された。大学生役から検事役まで演じ切っていて、これまでにない石原の一面が見られた気がした。

 井上 確かに! 田中みな実は引っかき回す役どころで「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系、2020年)をほうふつとさせた。ヒステリックで狂気じみた感じが似ている。

 平本 サスペンスとして楽しめたけど、主題歌がひっかかった。シリアスなシーンと明るいトーンのイントロが合ってないような……。展開次第ではしっくり来るのかな。

「アンチヒーロー」の一場面。主人公の明墨正樹(長谷川博己)=TBS提供 拡大
「アンチヒーロー」の一場面。主人公の明墨正樹(長谷川博己)=TBS提供

 諸隈 TBS系の「アンチヒーロー」(日曜午後9時)はどう? 「殺人犯をも無罪にしてしまう」弁護士、明墨(あきずみ)正樹(長谷川博己)が正義とは何かを問いかける。

 井上 日曜劇場は男性の熱血ドラマが多いイメージで食傷気味というか……。でも、今回は少し変わったテイストで楽しめた。

 平本 分かる! 日曜劇場らしい重厚なドラマが苦手な私には見やすくて、今回の5作では一番好みだった。

 井上 明墨は血も涙もない弁護士に見えて、障害のある証人を気遣うこともある。純粋な正義じゃなくて二転三転するのが面白い。

 諸隈 勧善懲悪じゃないキャラクター設定は面白いけど、日曜の夜にはトーンが暗くない?

 平本 冒頭、明墨が拘置所での接見で、顔が見えない相手に「私があなたを無罪にして差し上げます」と語りかけるシーンなどのこと? あの場面はドラマの軸になっていると思うけどなあ。検察VS弁護士の構図を際立たせているのも面白い。

 諸隈 両者の見立てを再現して、本当にどっちが真実か分からない見せ方をしていた。ドラマ好きの友人の評価も高かった。

重すぎず見やすい テレ東「ダブルチート」

 平本 純粋な正義を描いていないという点では、テレビ東京系の「ダブルチート 偽りの警官 Season1」(金曜午後8時)もそうだね。主人公が暗い過去を抱えている設定も似ている。

 井上 法律で裁けない悪を相手に、警察官の多家良啓介(向井理)が詐欺師として暗躍する話だね。裏の顔がある警官は、割とある設定だけど、気持ちよく見られた。

 平本 多家良と矢柴等(荒川良々)のコンビは意外性があって良い。サスペンスやミステリーを多く手がけるWOWOWとの共同制作で、テレ東らしいエンタメ性もあって2局の良い色が出ている。夜8時台でも重すぎず、見やすい。

 諸隈 コロナ禍での中小企業相手の融資金詐欺とか、取り上げる題材がリアルなのも良かった。

 平本 日本テレビ系の「ACMA:GAME アクマゲーム」(日曜午後10時半)は、主人公の織田照朝(間宮祥太朗)が命懸けの頭脳バトル「アクマゲーム」に挑むドラマだね。

 井上 まさに心理戦という感じで、謎解きとして面白い。親子で楽しめるトリックでストーリーも分かりやすい。ただ、子どもが見るには遅い時間なんだよね。CG(コンピューターグラフィックス)のキャラクターは斬新だけど、家のテレビで迫力が伝わらないのがもったいない。

 平本 私は正直ハマらなかった。初回で設定がはっきり分かった分、今後の展開が読めてしまう気がした。

 諸隈 漫画原作の頭脳バトルものだね。「デスノート」(日テレ系、15年)や「ライアーゲーム」(フジ系、07年)と似た世界観に見えた。私は没入感に欠ける気がしたけれど、お仕事ものドラマとか最近のはやりが確立されている中で、目の付け所は良い。

フジは王道ラブストーリー

 井上 フジテレビ系は昨年夏の「真夏のシンデレラ」以降、月9らしい王道ラブストーリーの作品が多いね。「366日」(月曜午後9時)は人気バンド「HY」の名曲に着想を得たオリジナル。高校の同級生だった雪平明日香(広瀬アリス)と水野遥斗(眞栄田郷敦)の切ない恋愛を描く。

 諸隈 恋愛ドラマとしてはアリだけど、月9ならもっとキュンキュンさせてほしい。同じ月9枠の「ブザー・ビート」(09年)や「リッチマン、プアウーマン」(12年)は、キラキラした男女のもどかしい恋愛にトキめいた。トキめきは物足りなかったけれど、HYの曲がかかるとぐっときた。

 井上 私はキュンとして、この作品がイチオシ。2人は高校の時から好意を持っているけど、周りに冷やかされて素直になれない。そういうすれ違いは自分の学生時代と重なって共感した。

 平本 遥斗が意識不明の重体になる落下事故の場面は、不自然さが気になった。曲をもとにしていたら展開が読めそうだけど、イメージをうまく裏切れば面白くなるかも。明日香がいちずに相手を思い続けるか、遥斗がどうなるのか……。2人の未来が気になるね。

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