10月13日付で退団する宝塚歌劇団の雪組トップ彩風咲奈が4日、NHK大阪ホールで、プレ退団公演となる「ドラマティック・リサイタル『ALL BY MYSELF』-BLOOM’S COLORFUL MEMORIES-」をスタートした。神奈川・相模女子大学グリーンホールでの公演を終え、劇団の地元・関西での上演初日となった。

作・演出は野口幸作氏。彩風は白いファーのコートをまとって、客席通路へ姿を見せ、スタートした。

「支えてくれたのは客席の片隅のいとおしいあなた」などと、客席を埋め尽くしたファンへ向けた思いを歌にのせ、メッセージ。初舞台から新人公演時代をへて、主力へと進み、雪組トップへ就いた過程を歌やダンスで描いていった。

今舞台はミスター・ブルームの回顧録を出版するという設定で、彩風がブルームにふんして物語は続く。初舞台の場面では「いっちゃ悪いけど、オレはけっこう優等生だった」と言い、首席入団した思い出もまじえて、舞台を運んだ。

さらには「入団してすぐピエロの役をもらった。お正月公演の初日、舞台のセンターで寝転んで迎えた」などと、下級生時代の思い出をもはさみ、客席をわかせていく。

新人公演で主演した「ロミオとジュリエット」からのナンバーも歌い、「るろうに剣心」の斎藤一にもふんして劇中歌を披露。その後は「CITY HUNTER」などトップ就任後の作品からも歌、ダンスを紡いだ。

舞台でのセリフにも「初日が開けたと思ったら千秋楽…その繰り返しで18年。それもいよいよ終わりなんだな」。退団カウントダウンを実感する彩風自身の思いも詰め込まれた。

終盤には楽曲に「この瞬間こそ宝物」との感謝を込めて歌い、フィナーレ。万雷の拍手で迎えられた彩風は「神奈川公演を終えてさらにパワーアップして大阪へやって参りました」と満面笑みであいさつした。

神奈川を終え、この日までには、3班に分かれた雪組の仲間が出演する全国ツアー、宝塚バウホール公演にも「見に行きました」と明かした。

会場は大阪城のふもとにあるNHK大阪放送局内のホール。「皆さまの笑顔がまぶしくて、このロビーから見える大阪城よりも気持ちが大きくなって…そんな気持ちですっ!」とこみ上げる思いを表現した。

客席おりや、観客と一体となった振りもあり「本当に初日とは思えないぐらい、(振りも)~ペンライトも完璧で。いや~愛だな! と。大阪の公演は5日間。この5日間大切に大切に届けた」と感謝した。

ゴールデンウイーク最中での開催には「そんな中で、この観劇を選んでくださり、ありがとうございます。『楽しかった』『発散できた~っ』って思ってもらえ、絶対に後悔させないように、心を込めて届けて参ります」と約束していた。

公演は同所で8日まで。

今公演後は、7月開幕の次作本拠地作「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」に備え、同公演東京千秋楽をもって退団する。