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大ベストセラー「五体不満足」で知られる作家の乙武洋匡さん(48)が、再び国政選挙に挑んだ。今度の舞台は衆院東京15区補欠選挙。結果は9人中5位でまたも当選には至らなかったが、そもそも乙武さんはなぜ、政治家になることにこだわっているのだろうか? 2年前の参院選に続き、密着してみると――。【金志尚】
「ただただ力不足」
投開票日の4月28日。午後8時すぎ、東京都江東区の事務所に姿を見せた乙武さんは、見るからに気落ちしていた。目は赤く、うつろ。口は真一文字に結ばれている。
「ただただ、私自身の力不足で責任を感じています」。厳しい表情で、ぽつりぽつりと敗戦の弁を絞り出していく。背後のテレビでは、「当選確実」が伝えられ喜びにあふれる立憲民主党の女性候補が満面の笑みを浮かべていた。そのコントラストが何とも痛々しい。
そんな光景を眺めながら、私は約2週間前のことを思い出していた。選挙戦前日、ここで乙武さんと久々に再会したのがもう随分前のように感じるから不思議だ。あの日、身長107センチの小さな候補者は、これから始まる戦いに興奮を隠そうとしなかった。
「もう私の気力、体力は充実しまくっておりますので、完全にスタンバイオッケーでございます!」
小池知事からの打診
乙武さんにとっては2度目の国政挑戦だった。前回は2022年夏の参院選。…
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