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否認なのに、なぜ「認め」の調書が… 大川原化工機事件の内幕

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島田順司さんの供述調書(2019年4月19日作成)。「弊社上層部は全器を非該当と判定して、不正に輸出を繰り返してきた」と記されている=2024年4月30日午前10時5分、遠藤浩二撮影
島田順司さんの供述調書(2019年4月19日作成)。「弊社上層部は全器を非該当と判定して、不正に輸出を繰り返してきた」と記されている=2024年4月30日午前10時5分、遠藤浩二撮影

 起訴が取り消された化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件では、同社元取締役に対する警視庁公安部の取り調べの一部について、東京地裁が違法と認定した。地裁は、取調官(警部補)が元取締役に「偽計」を用いて供述調書にサインさせたと判断し、東京都に賠償を命じた。一体、どんな取り調べだったのか。その内幕に迫る。【遠藤浩二】

調書に「トラップ」と捜査関係者

 元取締役は島田順司さん(70)。生物化学兵器への転用が可能で国が輸出を規制している噴霧乾燥器を不正輸出したと疑われ、社長らとともに外為法違反容疑で2020年3月に逮捕、起訴された(その後、起訴取り消し)。

 逮捕前の18年12月~20年2月にあった任意の取り調べにおける島田さんの供述調書(計14通)には、自社の噴霧乾燥器が輸出規制の要件に該当すると認める記載がある。さらに「勝手に非該当と判定した」「不正輸出を繰り返した」と容疑を認めるような供述も記されていた。

 こうした調書の記載について、島田さんは取材に「話した覚えはない」と訴える。経済産業省令で定められた輸出規制品の要件の一つ「殺菌できるもの」に自社の噴霧乾燥器は該当せず、輸出規制の対象との認識はなかったと主張する。では、なぜ「認め」の調書になっているのか。ある捜査関係者は「トラップが仕掛けられていた」と語る。

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