日米中3カ国語をしゃべる女優藤本ルナが、Netflixなどで配信中の米映画人気アクションシリーズ「山猫は眠らない10 レディ・デスの奪還」(オリバー・トンプソン監督)で主役グループ3人の1人に抜てきされている。グローバルに活躍するトリリンガル女優を、このほど“日本語で”取材。連載の第1回は、同作への出演の経緯について聞いた。【小谷野俊哉】

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映画「山猫は眠らない」シリーズは第1作が1993年(平5)に公開された。本作ではチャド・マイケル・コリンズ(44)演じる一流の狙撃手ブランドン・ベケットと、相棒のジーク・ローゼンバーグ(ライアン・ロビンス=42)とともに、交際テロリストのカルト教団に拘束された仲間の工作員レディ・デス(藤本)を救出するために地中海に浮かぶマルタ島に向かうというストーリーだ。

「2021年10月から11月にかけて、ほとんどマルタで撮影しました。当時のヨーロッパは、コロナ禍も緩くなってたので特に問題はなくできました。マルタに行ったのは初めてでしたが、東京より小さいんです。それまでマルタのことを全然知らなくて調べたら、マルタ騎士団とか、すごい歴史のあるところだって。それを楽しみに行ったら、やっぱり遺跡とかがすごい。街の中の家自体が遺跡みたいな感じ。ビルディングとかも蜂蜜色って言われていて、すごくきれいでした。1カ月間くらい、マンションの1室を借りていただいて、そこで暮らす感じで撮りました」

作品のオーディションは、米ロサンゼルスで行われたという。

「今のオーディションは、セルフテープって言って、自分で動画を撮って送る形式なんです。絶対にやりたいと思ってたので、提出して返事が来るまでの1週間はドキドキしていました。オーディションでは、12ページぐらいの脚本が送られて来て、用意された3シーンくらいの映像を撮って送りました。それとは別にアクションの動画も。オーディション段階では、ヒロインだなっていうのは分かったけど、まさかこんな3人メインで出るとは思わなかったです。びっくりしました。今回は、レディ・デスにフォーカスした作品だったんです。最初にオーディションを受けた時に、監督が言っていたのは『アクションができる』っていうことでした。アクションが大事な役だから、スタントウーマンとかの方の資料も送られてきたらしいんですよ。でも、やっぱり芝居がすごく大事でもあるから、アクションだけじゃなくて芝居がちゃんとできる役者を探したいとおっしゃってました。それで女優で、ちゃんとアクションもできる人ということで選んでいただきました」

共演の2人とは、楽しく撮影できたという。

「ライアン(ロビンス)は、最初からすごく親しくしてくれて『よく来てくれたね』みたいな、大歓迎でしたね。なんか私の動画を見てくれてたみたいで。それで『めちゃめちゃ、いいじゃん』って感じで。すごくほめてくれました。チャドはイケメンキャラじゃないですか。なのでちょっとドキドキしながら、お会いして。でも、すごいシラッとした感じでジョークを言うんですよ。だから一瞬、あれ、今のジョークだったのという時もあったりとか(笑い)。3人メインで1チームでやったので、結構いろいろと待機時間にお話ししたりとか。最初から、いいチームワークでできました」(続く)

◆藤本(ふじもと)ルナ 5月6日生まれ、東京都出身。13歳で女優を目指して渡米。ニューヨークのラガーディア高ダンス学科卒業後、中国の大学・北京電影学院入学。2020年に映画「モンスター・ハント 王の末裔」で女優デビュー。同年中国映画「「淬火」「恩仇結」で主演。21年、映画「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-」、水のない海」「永遠の1分。」、22年「47RONIN ザ・ブレイド」など出演。公開中の映画「ハードボイルド・レシピ」では裏取引の運び屋を演じている。165センチ。