【ドーハ1日(日本時間2日)佐藤成】サバイバル緒戦だ。今夏のパリ五輪出場を決めた日本が8年ぶり優勝を懸け、今日3日(日本時間同深夜)のU-23アジア杯カタール大会決勝ウズベキスタン戦に臨む。

欧州組とオーバーエージ(OA)枠を含め、本大会で18人に絞られるメンバーへの生き残り競争が開始。今大会不発の10番、MF佐藤恵允(22=ブレーメン)が16年大会決勝で2得点したFW浅野拓磨(29=ボーフム)に自身の姿を重ね合わせて、ヒーローに名乗りを上げた。逆境に強い男が左サイドのパリ切符をつかむ。

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チームはアジア王者、個人ではパリ五輪への“資格”が問われる決勝になる。交渉次第だが、本大会ではA代表主力のMF久保建英を筆頭に、この世代常連の斉藤光毅や三戸舜介、FWの小田裕太郎、福田師王ら欧州組が加わる編成が決定的。最終予選組にとってウズベキスタン戦は「使えるか」試される一戦になる。

枠は限りある。現行の4-3-3陣形のままと仮定すると、本戦登録18人のうち、前線3枚のポジションは最大2人ずつの5、6人と見込まれる。特に斉藤、三戸、平河がひしめく左サイドは超が付く激戦区だ。

そこで、アジアで活躍できないようでは…。背番号10の佐藤が、背水の「ジャガーロード」を歩む。8年前のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選決勝は韓国に3-2。0-2から2得点を挙げ大逆転Vの立役者となった、後に五輪や22年W杯カタール大会のドイツ戦で得点したFW浅野拓磨のジャガーポーズが、目に焼きついている。今大会は無得点だが「結果で見返してやりたい」。最後に特大インパクトを残し、まず五輪を射止めた浅野に続く物語へ。「もちろん、そうなりたいですね」と笑った。

逆境には強い。実践学園高時代は無名で、明大入学後も通用せずBチームだったが、前向きな性格で1年秋から出場機会を得た。U-23代表でも、追加招集された昨年3月の欧州遠征で2得点。「壁にぶち当たる人生。勝負強さがあると思っているし、ぶち破ってきた」。決勝もブレークスルーのきっかけとできるか。

ウズベキスタンとは2年前の準決勝でも対戦。当時は、この予選を見据えて2歳下のU-21世代で挑んで0-2だった。その時も追加招集だった佐藤は、後半途中出場で無念。次こそ招集意義を示す。「大学生だった当時より個で打開する力は増している」。昨夏、渡独。名門ブレーメンで自信を深めている反骨の「ケイン」が、頂へ「けん引」し、パリ切符を譲らない。