日仏首脳会談、円滑化協定交渉入りへ 海洋秩序の維持・強化図る

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岸田文雄首相

 岸田文雄首相は2日、訪問先のフランス・パリのエリゼ宮(大統領府)でマクロン大統領と会談し、自衛隊と仏軍の相互往来をスムーズにするための「円滑化協定(RAA)」締結に向けて交渉を始めることで合意した。強引な海洋進出を続ける中国を念頭に、太平洋地域にも領土を持つフランスと安全保障協力を進め、ルールに基づく海洋秩序の維持・強化を図る狙いがある。

 首相は会談後、RAAの交渉開始について「日仏の安全保障協力をさらに促進するとともに、インド太平洋地域の平和と安定に貢献するものだ。ぜひ着実に進めていきたい」と記者団に語った。

 RAAは、一方の部隊がもう一方の国を訪れる際の手続きの簡素化や、訪問部隊の地位を明確にするための協定。訓練や協力活動の実施を円滑化し、相互運用の向上につなげる。日本としては、すでに発効済みの英豪両国と、現在交渉中のフィリピンに次いで4カ国目となる。

 フランスはニューカレドニアや仏領ポリネシアなどの海外領土を太平洋に持っており、近年はインド太平洋地域への関与を強めている。自衛隊と仏軍の間では2023年6~9月に陸海空の共同訓練を実施したほか、24年3月には自衛隊も参加する形で宇宙空間での演習も実施し、協力の幅を広げている。

 首脳会談では、23年12月に策定した今後5年間の日仏協力に関する「ロードマップ」の進捗(しんちょく)を確認。両国の政府開発援助(ODA)の担当部局が途上国のインフラ整備や環境対策で共同事業を実施していることを歓迎した。中東情勢やウクライナ情勢、北朝鮮や中国を含む東アジア情勢についても意見交換し、今後の連携を確認した。【パリ村尾哲】

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