「管理態勢に不備」 難病患者らへ性的虐待、病院が会見 福岡

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記者会見で頭を下げる国立病院機構大牟田病院の川崎雅之院長(手前から2人目)=福岡県大牟田市で2024年5月2日午後6時53分、平川義之撮影 拡大
記者会見で頭を下げる国立病院機構大牟田病院の川崎雅之院長(手前から2人目)=福岡県大牟田市で2024年5月2日午後6時53分、平川義之撮影

 独立行政法人・国立病院機構大牟田病院(福岡県大牟田市)で身体障害のある入院患者らへの性的虐待が発覚した問題で、病院は2日、記者会見を開き経緯を説明した。看護師ら5人による患者の胸や陰部を触るなどの行為が確認され、遅くとも2021年ごろから続いていたとみられる。記者会見で川崎雅之院長は「虐待は管理態勢の不備で生じた。誠に申し訳ありません」と謝罪した。

 病院によると、虐待行為に関わったのは、いずれも男性で看護師2人と介護職員3人。全身の筋肉が徐々に弱る難病・筋ジストロフィー患者の入院病棟や、重症心身障害者の入院病棟などで勤務していた。被害に遭ったとされるのは男女11人で、自分で体を動かせなかったり、意思疎通ができなかったりした人もいた。

 虐待行為として、就寝時に陰部をもむ▽入浴介助で陰部を素手で洗い過剰に刺激し、わいせつな声をかける▽女性の脇をくすぐり胸付近を触る▽生活介助の際に陰部を長時間観察する――などが確認された。夜間などで患者と1対1で対応する際がほとんどだった。

 職員への処分は行われておらず、5人のうち介護職員2人が辞職。1人は行為を認め、もう1人は否定している。川崎院長は「通常の介護行為の一環ととらえていた可能性もある。本人らがなぜそういう行為をしたかは不明」と語った。

 23年12月に入院患者から「男性介護士に下半身を触られた」との訴えがあり、病院が調査を開始。職員らへの聞き取りを進め、障害者虐待防止法に基づき患者11人の居住先の自治体に通報した。自治体の調査で、男性2人、女性4人の計6人について性的虐待があったと認定された。一方、残る5人のうち1人は認定されず、4人が調査中。病院は外部の専門家でつくる第三者委員会を設置し調査や再発防止の徹底を進める。

 警察への告発については、病院は通報先の自治体が判断して行うものとの認識を示した。不同意わいせつ罪などに当たる可能性もあり、福岡県警大牟田署が病院関係者や被害者らから話を聞き、事実関係の確認を進める方針だ。

【山口響、降旗英峰】

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