「憲法はキラーコンテンツ」 行き詰まる安倍改憲 起死回生策は

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衆院本会議で所信表明演説をする岸田文雄首相=国会内で2023年10月23日午後1時15分、竹内幹撮影
衆院本会議で所信表明演説をする岸田文雄首相=国会内で2023年10月23日午後1時15分、竹内幹撮影

 自民党は自衛隊明記、緊急事態条項など4項目の憲法改正を目指している。第2次安倍晋三政権下の2018年にまとめた。憲法施行70年の17年5月3日、当時の安倍首相が9条改正と改正憲法の20年施行を目指すと表明したビデオメッセージが出発点だ。

 岸田文雄首相は党内ハト派の流れをくむ宏池会(岸田派)会長を務めた。改憲を「宿願」とした安倍氏のような思い入れはうかがえず、周辺から「何がやりたいか分からない」と評される。

 ある側近は首相に対し「改憲のやる気だけは見せてほしい」と助言したという。憲法議論に詳しい関係者は、首相にとっての憲法とは「保守層への見栄えを良くするための『ファッション』だ」と例える。

 「安倍改憲」を踏襲して総裁任期中の改憲を目指すと繰り返すものの、世論の機運は高まらない。自民派閥の裏金事件で政権運営が不透明感を増す中、野党第1党の立憲民主党は「改憲ありき」の自民に批判を強める。安倍氏は銃撃事件で亡くなり、最大派閥・安倍派は裏金事件で解散に追い込まれた。推進役不在となった「安倍改憲」は漂流しているように見える。

 そのような状況の中、改憲発議に向けた「強行突破論」が取り沙汰されるのは、行き詰まりの裏返しといえる。自民憲法族議員は「裏金事件の影響で次の衆院選で自民は議席を減らし、改憲勢力で3分の2を割る。今やらないと発議できなくなる」と危機感を募らせる。

 追い詰められているのは、衆院3補欠選挙で全敗した首相も同じだ。今のままでは…

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