内部告発者、名前漏らした国と和解 再発防止策も約束 名古屋地裁

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内部通報が漏えいされたことに関し、記者会見する男性(手前)=名古屋市中区で2024年5月1日午後2時11分、道下寛子撮影 拡大
内部通報が漏えいされたことに関し、記者会見する男性(手前)=名古屋市中区で2024年5月1日午後2時11分、道下寛子撮影

 内閣府の公益通報担当者が、所管施設の職員から受けた内部告発の事実や告発者の氏名などを施設側に漏らした。内部告発した男性(53)は精神的苦痛を受けたとして国などに約500万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴。内閣府が再発防止策を講じるとともに、国が75万円の損害賠償金を支払うことで和解が成立した。和解は4月23日付。

 訴状などによると、男性は公益財団法人「中部科学技術センター」(名古屋市)に勤務。2022年4月と10月、センター内で確認した不正行為について内閣府に通報した。

 通報を受けた内閣府の担当者はその後、同センターが開設しているホームページ上の問い合わせフォームに、男性を名指しし、男性から内部告発があったとした上で「国の担当者を混乱させた」「葬り去ることを希望する」などとする匿名のメールを送った。

 男性はメールを直接見る立場にあり、精神的苦痛を受けたとして23年7月に提訴。国は情報漏えいの事実を認め、23年11月に担当職員を停職3カ月の懲戒処分にした。

 1日に記者会見した男性は「なぜ、こんなことを言われなければならないのか。体の力が抜け、ショックを受けた」と振り返り、「(内閣府は再発防止策策定を)対応してもらい、ある程度、納得している。何も動かなければ変わらなかったと思う。裁判をして後悔はない」と話した。【道下寛子】

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