温泉熱で重油ゼロ 1806年創業の旅館、コストも温室ガスも削減

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節水タイプのシャワーヘッドを説明する内田宗一郎社長。水の勢いにこだわったという=静岡県熱海市東海岸町の古屋旅館で2024年4月25日、若井耕司撮影 拡大
節水タイプのシャワーヘッドを説明する内田宗一郎社長。水の勢いにこだわったという=静岡県熱海市東海岸町の古屋旅館で2024年4月25日、若井耕司撮影

 静岡・熱海にある老舗温泉宿の古屋旅館(内田宗一郎社長)が昨年度、温泉熱を活用して旅館での重油の使用量ゼロを達成した。コスト削減と温室効果ガスの排出削減を目指すもので、内田社長は「1806年創業の歴史と伝統を大切にしながら、これからも時代に合わせていきたい」と話している。【若井耕司】

 同旅館の温泉は、源泉口で90度程度あり、大浴場の浴槽では加温せずに使用できる。しかし、浴場や客室のシャワー、調理場の給湯用の水を加温するために、2000年代までは月30万円程度の重油代がかかっていた。

 そこで金属製パイプをコイル状にした熱交換システムを温泉タンク内に設置。温泉熱を使って温水を作り出す取り組みを始めた。パイプも当初のシステムで使用していた銅製のものは腐食が激しかったため、14年に腐食に強いチタンに変更した。温水の利用そのものを減らそうと、浴室のシャワーヘッドや調理場の食器洗浄機を節水型に更新するなどの試行錯誤も続けてきた。

チタン製の熱交換システム=古屋旅館提供 拡大
チタン製の熱交換システム=古屋旅館提供

 また、露天風呂付きの客室を増やしたことで大浴場の利用が減り、シャワーの利用が減ったことも重油使用量削減の一因になっている。

 チタン製システムの設備費は約400万円で年間のメンテナンスも10万円ほどかかる。しかし、投資額は1年半ほどで回収したという。

 温泉熱は、全国でも温室栽培のハウス内の加温や発電など、幅広く活用されている。

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