脳科学・脳の健康

脳の錯覚を利用!? 鎌倉・鶴岡八幡宮の「段葛」の視覚トリックとは

【脳科学者が解説】「遠近法」は絵画に立体的な奥行きを出す手法ですが、建築にも遠近法が応用されることがあります。鎌倉の「鶴岡八幡宮」の段葛(だんかずら)をご紹介しましょう。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

鎌倉・鶴岡八幡宮の二の鳥居

鎌倉にある鶴岡八幡宮の「段葛(だんかずら)」。グーグルマップで見ると驚きのトリックが……

「遠近法」は絵画に立体的な奥行きを出す手法ですが、建築にも遠近法が応用されることがあります。脳が錯覚を起こす「遠近法」のトリックを利用することで、実際よりも、さらに広く、大きく見せたりすることができるのです。

日本国内で楽しめる歴史的建造物の一例として、鎌倉の「鶴岡八幡宮」の段葛(だんかずら)をご紹介したいと思います。
 

鶴岡八幡宮の「段葛(だんかずら)」に使われている視覚トリックとは

「鶴岡八幡宮」は、鎌倉時代の初代将軍源頼朝ゆかりの神社としても知られ、今も観光名所になっていますので、行ったことがあるという方も多いかもしれません。筆者も何度も訪ねたことがあります。公共交通機関を使って参拝するときには、鎌倉駅で降りて、最寄りの「二の鳥居」をめざします。その「二の鳥居」から始まり、両脇の車道よりも一段高くなった中央分離帯の歩道をずっと歩き、大きな交差点の信号をわたると「三の鳥居」があり、「鶴岡八幡宮」の境内にたどり着きます。この「二の鳥居」から「三の鳥居」の手前までの歩道が、「段葛」と呼ばれる部分で、視覚的なトリックの技術が使われています。

二の鳥居から見ると、段葛はまっすぐ一直線に神社前まで伸びていて、歩道の両側は、平行に見えます。しかし実は、段葛の始まり(二の鳥居あたり)の道幅と、終わりの道幅は違うのです。もっと具体的に種明かしをすると、先に行くほど歩道の幅が狭くなっています。

本当かなぁと思う方は、グーグルマップの衛星写真を見て確認していただくといいでしょう。樹木が植えられている部分も含め、具体的な道幅は、段葛の始まり(二の鳥居あたり)で9m、終わり付近(三の鳥居の手前)では6mになっています。意識していないと気づかないかもしれませんが、人出が多いときは、二の鳥居付近はスムーズに歩けるけれど、三の鳥居が近づくと「混んでるな」という印象を受けることがあります。

もうお気づきだと思いますが、鶴岡八幡宮に近づくほど段葛の道幅が狭くなっていくのは、参拝者に鶴岡八幡宮を遠くに見せるための仕掛けなのです。これは、偶然そうなっているのではなく、神社を作る時に、意図的に設計されたそうです。

鎌倉を訪ねる機会がありましたら、ぜひこの段葛を通って、始まり付近で両手を横に広げたときと、終わり付近で両手を広げた時で、どんな感じがするか試してみるのも面白いと思います。
【編集部からのお知らせ】
・「20代男性俳優」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます