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群馬県が全国屈指の出土数と質を誇る埴輪(はにわ)が、磁器の箸置きになった。実物の10分の1ほどの大きさながら、県立歴史博物館の埴輪3Dデータを活用し、細部まで忠実に再現した。商品化を手がけた食器卸売り「三美堂」(高崎市)の吉村聡社長(38)は「同じ焼き物として、デフォルメではなく、とがったリアルなものを作りたかった」と話す。
吉村さんは2017年から群馬にちなんだ食器を作り始め、県の形や名産のだるまを模した皿など多くの商品を生み出してきた。埴輪の商品化は、「HA(は)NI(に)」のロゴを商標登録するなど「埴輪大国」のアピールを進める県が、民間企業に県立歴史博物館の埴輪の3Dデータを用いた商業利用を促しているのを知ったことがきっかけ。3Dデータから型を作り、磁器の粘土を流し込む。「万人受けを狙わずマニアックに振った。質が高い埴輪を表現できた」といい、3月23日の販売開始から約20個が売れた。
安価で大量に売る大手小売りの存在が脅威になり、食器卸の存在意義に悩んでいたとき、飲食店から「群馬を盛り上げる食器があってもいいんじゃないか」と助言されたことがきっかけで群馬にちなんだ食器の商品開発を始めた。「埴輪の箸置きは一見何をやっているんだと思われるかもしれないが、突き抜けてこだわって、県外の人や古墳好きに『群馬発』が刺さればうれしい」と期待する。
箸置き「ぐんまのはにおき」は、いずれも藤岡市で出土した「笑う埴輪」「家形埴輪」「靫(ゆぎ)形埴輪」「大刀形埴輪」の計4種類がセットになっている。税込み4380円。三美堂のオンラインショップ「つーーーる」などで販売している。【田中綾乃】