「我々に逃げ場はどこにもない」 ブラジル大統領が語ったこと

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インタビューに応じるブラジルのルラ大統領=ブラジリアで2024年4月30日、中村聡也撮影 拡大
インタビューに応じるブラジルのルラ大統領=ブラジリアで2024年4月30日、中村聡也撮影

 南米ブラジルのルラ大統領が4月30日、毎日新聞など日本メディアのインタビューに応じた。主な内容は次の通り。【ブラジリア中村聡也】

日ブラジル関係

 両国の貿易総額は現在、110億ドル(約1兆7430億円)で、2011年の170億ドルから減少している。我々は日本と貿易関係を強化したい。また、ブラジルは再生可能エネルギー分野などで可能性を秘めた国だ。一方、日本は豊かな国だが、経済は停滞している。我々はブラジルを世界6大経済大国の一つにしたい。だからこそ、2国間関係を強固にしたい。

気候変動対策

 ブラジルは30年までに熱帯雨林アマゾンの森林破壊をゼロにする目標を掲げ、荒廃した4000万ヘクタールの土地を植林で回復することを目指している。この政策を進める上で、ブラジルは多くの国と同様、日本と協力関係を築きたい。

 森林の保全には莫大(ばくだい)な資金が必要だ。我々はアマゾンの多様性を世界と共有し、そこに暮らす人々の利益になる支援を望んでいる。日本も貢献できると思っている。

ウクライナ侵攻

 解決策は対話を交えた交渉だ。私は(ウクライナの)復興には長い年月がかかり、人的被害も取り返しがつかなくなるとの理由で、既にロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の双方の元へ外交顧問を派遣し、何ができるかを探ってきた。また、この戦争は国連の非効率さを象徴するものだ。国連が機能しない限り、殺し合いは続くだろう。

ガザ情勢

 ブラジルは南米で最初にパレスチナを国家として承認した国だ。しかし、国連安全保障理事会は(先月)パレスチナの国連への正式加盟を勧告する決議案を否決した。米国が拒否権を行使したからだ。国連は拒否権をなくすべきだ。

 また、イスラエルはイスラム組織ハマスの掃討に執着し、バイデン米大統領などから支援を受けている。ガザ地区では女性や子どもへのジェノサイド(集団虐殺)が起きている。これはやめるべきで、彼らが人道支援を受けられるようにすべきだ。

主要20カ国・地域(G20)の議長国として

 私はブラジル国内の民主主義だけでなく、世界との良好な関係を取り戻すために大統領として戻ってきた。我々は語り合わなければならない。G20では飢餓と貧困、不平等を解決するための国際的な機運を構築するつもりだ。地球に暮らす以上、逃げ場はどこにもない。暴力は必要ない。必要なのは平和であり、愛情だ。誰もが夢見る世界を築くこと、それがG20の目的だ。

11月の米大統領選

 バイデン大統領とは良い関係を築けている。他国の選挙に口出しはできないが、もし米国に住んでいたら、バイデン氏に投票する。だが、誰が勝とうが(米国との)関係は維持する。国家元首同士の関係は個人的なものではなく、公的なものだからだ。結果を尊重することで、民主主義は生き続ける。

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