連載

お笑いの向こう側

芸人さんの活躍する場の「表」と「裏」を取材し、「笑い」が生まれて、人に届くまでを写真記者がお伝えします

連載一覧

お笑いの向こう側

日常を破壊せよ! 狂気と試行錯誤と「オダウエダ」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
単独ライブのネタ作り中、ホワイトボードにアイデアを描く「オダウエダ」の小田結希さん(右)と見守る植田紫帆さん。小田さんは植田さんを「自分のことすごい後回しにする優しい人。お笑い大好き人間ですね」と話し、植田さんは小田さんを「自分の体の一部ぐらい本当になくてはならない存在。相方で、ビジネスパートナーなんですけど、家族みたいな。なんでもないけど、なんやろねこの関係」と話した=東京都新宿区で2024年4月8日午前3時4分、前田梨里子撮影
単独ライブのネタ作り中、ホワイトボードにアイデアを描く「オダウエダ」の小田結希さん(右)と見守る植田紫帆さん。小田さんは植田さんを「自分のことすごい後回しにする優しい人。お笑い大好き人間ですね」と話し、植田さんは小田さんを「自分の体の一部ぐらい本当になくてはならない存在。相方で、ビジネスパートナーなんですけど、家族みたいな。なんでもないけど、なんやろねこの関係」と話した=東京都新宿区で2024年4月8日午前3時4分、前田梨里子撮影

 「植田、お母さんにそっくり」「どういう意味で」「全然立たないから」。2人は笑う。

 ネタ作りをする芸歴11年目「オダウエダ」。ホワイトボードの前に立つ小田結希さん(28)には、椅子に座る植田紫帆さん(32)と、植田さんの母の姿が重なった。

 NSC(吉本総合芸能学院)からの帰り。スベったライブの帰り。東京へ行く夜行バス乗り場へ。エルグランドで、送迎してくれた。そんな時、運転席から一歩も動かず、いつも2人を見守っていた植田さんの母。先日亡くなった彼女は、小田さんにとっても大阪の母のような存在。2人が培ってきた時間が、ネタ作り中の会話に漂う。

 5日に「ルミネtheよしもと」で行う2回目の単独ライブ「惑星オダウエダ」に向けて進むネタ作り。「文字で書いて出されるより、絵で見せられたり、テンション感とか言葉とか、映像的なところからいくのがお互いに共通してる」。イメージを共有し、2人で形にしていくスタイルをとっている。

 2021年「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝。独特な設定から、狂気の世界へ走っていくコントは頭をかき乱し、訳もわからず笑ってしまう。2人を知るほど面白さが増していく。

 昨年、お笑い番組「ジョンソン」の芸人大運動会では、植田さんがスクール水着でリレーを走り、体格をいかした「画力」で衝撃を与えた。コンプライアンスが厳しい今、下ネタも用い、ユーチューブやラジオでも真っ向勝負する。しかし、2人のキャラクターもありどこかすがすがしく、何より内容の面白さで不快感がないのだ。そこには楽屋やライブで失敗を重ね得た、ギリギリの線引きがある。

 「とっぴなボケをする芸人でありたい」。この思いが、狂気のネタでも、メディアでのきわどい展開でも、オダウエダにしかない…

この記事は有料記事です。

残り2164文字(全文2900文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月