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「土日返上」「同僚が倒れた」 “岸田減税”開始まで1カ月 疲弊する現場

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経済対策について記者会見する岸田文雄首相=首相官邸で2023年11月2日午後6時17分、竹内幹撮影
経済対策について記者会見する岸田文雄首相=首相官邸で2023年11月2日午後6時17分、竹内幹撮影

 岸田文雄政権が経済対策の目玉に据えた「定額減税」の開始まであと1カ月となった。減税で物価高を上回る所得増を後押しするのが狙いだが、減税の実務を担う自治体や企業の担当者からは作業の煩雑さなどから「割に合わない」との声も上がる。開始後、減税効果は実感できるのだろうか。

平日は残業、土日も返上

 「土日返上で働いて、同僚もバタバタ倒れている。私も体調を崩し気味で、正直疲れ切っている」

 東京都内のある区役所で課税業務を担当する30代男性職員はため息をついた。平日は午後10時過ぎまで約15人の同僚と仕事場に残る日々。3月下旬からは週末の休みも取れていない。膨大な量の仕事を生み出している最大の原因が定額減税だという。

 定額減税は、納税者本人と配偶者など扶養家族を対象に、1人あたり4万円を所得税などから差し引く制度で、2023年10月に岸田首相が物価高対策としてぶち上げた。制度設計を担う財務省も「直前に知らされた」(幹部)と驚くほどの急な打ち出しだったが、23年末に決まった24年度与党税制改正大綱に今年6月からの実施が盛り込まれた。内訳は所得税3万円と、地方財源の住民税1万円だ。夫婦と子ども2人の4人世帯の減税額は計16万円となる。

年収や働き方で異なる複雑な仕組み

 住民税減税を担う自治体を悩ませているのは、年収や働き方などによって、減税の方法や対象者が変わる仕組みの複雑さだ。

 自治体は毎年、前年の所…

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