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政府・日銀が29日の外国為替市場で5兆円規模の円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った可能性があることが30日、明らかになった。日銀が同日公表した日銀当座預金の残高に関する資料から市場関係者が推計した。介入をしていれば、2022年10月以来。
29日の海外市場では一時1ドル=160円台まで下落した後、154円台半ばまで急反発し、市場では政府・日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が広がっていた。30日の東京外国為替市場の円相場は、日米の金利差を意識した円売り・ドル買いがみられたものの、介入に対する警戒感も根強く、1ドル=156円台後半を中心に推移した。午後5時現在は、前週末比15銭円安・ドル高の1ドル=156円85~87銭。
日銀が30日に公表した資料を調べたセントラル短資の高浜陽介氏によると、介入の有無を反映する日銀当座預金の残高の見通しが、市場の事前想定よりも大幅に減少しており、「介入の実施が類推できる」とした。ニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストも「29日の値動きを見ると、円安方向に戻りそうな動きを(円高方向へ)抑え込むような強い意思を感じた」と介入の可能性を指摘する。
一方、政府は為替介入の有無について明らかにしていない。岸田文雄首相は30日午前、記者団に対し「為替介入についてはその有無も含めて(政府として)コメントは差し控える」と述べるにとどめた。
同日午前に記者団の取材に応じた財務省の神田真人財務官も介入の有無は明らかにしなかったが「必ず5月末にはしっかりとディスクローズ(開示)がなされるように手配をする」と含みを持たせた。また「過度の変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える」と市場の投機的な動きをけん制した。
今後は米連邦準備制度理事会(FRB)が30日~5月1日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の記者会見に関心が集まる。上野氏は「会見でパウエル議長が利下げに慎重な姿勢を示すとドル高の圧力が高まり、再び日本の通貨当局との神経戦になりそうだ」と指摘する。【杉山雄飛、内田帆ノ佳、井口彩】
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