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秋田県横手市増田町で明治時代から続く伝統行事「たらいこぎ競争」が4月29日、真人(まと)公園で開かれた。県内外から計36人が参加し、たらいに乗ってバランスを取りながら素手で水をかきわけて前に進み、その速さを競った。
増田町は昔から酒造りが盛んで、大正時代には10を超える銘柄があったとされる。タガが緩まないよう沼に浮かべてあったたらいに酒屋の若者が遊び半分で乗り、速さを競ったことがルーツとされる。
レースは園内の沼であり、直径90センチ、高さ40センチのたらいが五つ並べられ、それぞれ1人ずつ乗って42・195メートルをこぎ進んだ。中には途中でバランスを崩して池に落ちる人もおり、近くで待機するボートで助け出されていた。
一般の部は秋田市の会社員、高橋昌裕さん(38)が1分26秒、秋田市の主婦、伊勢谷愛美さん(32)が2分43秒で男女それぞれの総合優勝を果たした。伊勢谷さんは「たらいの前の方にあぐらをかいて乗り、前のめりでこぐといいと聞いてやってみた。すごく楽しかった」と振り返った。
主催した増田町観光協会の千田孝八会長(74)は「8月には沼を周回するたらいこぎ耐久レースも予定している。珍しいレースなのでこちらも注目してほしい」と話している。【工藤哲】