「これからも力強く」 SLばんえつ物語25周年 利用者90万人超

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阿賀野川沿いを走るSLばんえつ物語=新潟県阿賀町で2024年4月29日午後5時41分、神崎修一撮影
阿賀野川沿いを走るSLばんえつ物語=新潟県阿賀町で2024年4月29日午後5時41分、神崎修一撮影

 JR磐越西線の新津駅(新潟市秋葉区)と会津若松駅(福島県会津若松市)を結ぶ蒸気機関車「SLばんえつ物語」が4月29日、運行開始から25周年を迎え、新津駅で出発式が開かれた。7両編成の客車338席はほぼ満席。カメラを手にした鉄道ファンや親子連れが見守る中、力強く走り出した。

 客車を引っ張る蒸気機関車「C57」は大きな動輪と細いボイラーが特徴で、優雅に見える外観から「貴婦人」の愛称で親しまれている。C57の180号は1946年に製造されて、磐越西線や信越本線などを走った。69年に引退し、新潟市立新津第一小で保存されていた。地元有志の要望をきっかけに、99年にSLばんえつ物語として復活。これまでに延べ約90万人以上の乗客が利用した。

大勢の鉄道ファンが詰めかけたSLばんえつ物語の運行25年出発式=新潟市秋葉区のJR新津駅で2024年4月29日午前9時24分、神崎修一撮影
大勢の鉄道ファンが詰めかけたSLばんえつ物語の運行25年出発式=新潟市秋葉区のJR新津駅で2024年4月29日午前9時24分、神崎修一撮影

 この日の出発式で、JR東日本新潟支社の和田佳史部長は「磐越西線は阿賀野川や山の緑に囲まれ、非常に風光明媚(めいび)な路線だ。沿線ではお見送りやお出迎えなどのおもてなしを受けている。みなさまの思いを胸に、これからも力強く走り続けてほしい」とあいさつした。

 このSLを保存していた同小の児童5人も出発式に出席し、機関士や車掌、メンテナンス担当者へ感謝を込めて花束を贈呈した。機関士から児童へは記念のヘッドマークがプレゼントされた。午前10時すぎ、児童らが出発の合図を送ると、SLは汽笛を鳴らし黒煙を上げながら、ゆっくりと走り出した。

 全国的には、SLの引退が相次いでいる。東日本大震災からの復興のシンボルとして岩手県の花巻と釜石駅間を結んだ「SL銀河」は2023年6月で運行を終了。主に熊本県内を走った「SL人吉」も24年3月にラストランを迎えた。いずれも老朽化が主な理由だ。

 磐越西線SL定期運行推進協議会の前田正実会長は「これだけ多くのファンが駆けつけたということは、これからもSL人気が続くということ。SLは観光振興の柱。末永く、運行してほしい」と期待を寄せた。SLばんえつ物語は9月末まで土日を中心に運行される。【神崎修一】

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