80歳相当のベテラン黒牛、若牛に胸を貸し 「牛の角突き」取組披露

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本場所さながらの迫力ある牛の角突き=新潟県長岡市の山古志闘牛場で2024年4月29日、内藤陽撮影 拡大
本場所さながらの迫力ある牛の角突き=新潟県長岡市の山古志闘牛場で2024年4月29日、内藤陽撮影

 伝統習俗「牛の角突き」の開幕を控え、新潟県長岡市山古志南平の山古志闘牛場で29日、告知を兼ねた事前イベントがあった。本場所と違って、体格の異なる牛を組み合わせて若牛に稽古(けいこ)をつける形の取組ながら、観客はその迫力に圧倒されていた。

 県内の角突きは、山古志に加え小千谷市小栗山の小千谷闘牛場で毎年開催。牛を傷つけないよう引き分けにするのが特徴で、全国6地域の闘牛のうち唯一、国の重要無形民俗文化財に指定された。

 参加するのは去勢されていない雄の牛。生後半年程度で去勢される肉牛と異なり、闘争本能を失わず筋肉質に育てるためという。本場所では牛の急所に当たる鼻先につけた綱を外すが、この日は牛をすぐに引き離せるよう追い立て役の「勢子(せこ)」が綱を持った状態で3~16歳の6頭による三つの取組が披露された。

 人間なら80歳相当の16歳の沖縄出身のベテラン黒牛は終始落ち着いた様子で同様に高校生程度の3歳牛に胸を貸した。最後の取組は年の近い牛同士。砂煙の中、鈍い音が響き、牛の額に血がにじむ。本番さながらの一番に会場は沸いた。

 東京都から家族で訪れた阿部真也さん(45)は「すごい迫力。ぜひ本場所も見に来たい」と話した。山古志闘牛会の松井富栄会長(42)は「普段の稽古の様子は見る機会も少ない。今回の催しで興味を持ってもらい、本場所も多くの人に見てほしい」と話した。

 角突きの初場所は、小千谷で5月3日、山古志で同4日。11月まで毎月最低1回の取組がある。山古志では、勢子の傍ら場内アナウンスも担い、「MC勢子」の異名を持つ松田淳さん(51)が登場。取組について、角突きの歴史やルールにふれながら詳しく解説し、初めての人も楽しめる。5月26日には長岡市で全国闘牛サミットもある。【内藤陽】

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