サッカーU-23日本代表が、パリ五輪出場を決めた場合は24歳以上の特別枠オーバーエージ(OA)最大3枠を行使し、候補にセンターバック(CB)板倉滉(27=ボルシアMG)冨安健洋(25=アーセナル)のA代表レギュラーコンビを挙げていることが29日、分かった。

左サイドバック(SB)もこなせる町田浩樹(26=サンジロワーズ)伊藤洋輝(24=シュツットガルト)もリストアップ。A代表主将のMF遠藤航(31=リバプール)も動向を探る。前線は23歳以下にするプランを模索。強い出場意欲を持つMF久保建英や、昨秋10番を背負った鈴木唯人ら欧州組を本大会は結集させる意向で、五輪メダル56年ぶりの獲得へ交渉を継続する。

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最強ジャパンへ、日本協会は昨年からOA枠の人選を進めてきた。パリ五輪アジア最終予選の結果を待ってからでは遅い。突破と本大会の両にらみで、守備陣を中心に優先順位を議論してきた。大岩剛監督(51)も昨秋の段階で「リストを出さなければいけないタイミングなので、こちらも準備している。我々のウイークはハッキリしている。隠すつもりもない」と行使する意向を明言したほどだ。

関係者によると、CB出身の大岩監督はチームづくりでディフェンスを最重要視。「世界で勝つためには守備」を掲げ、候補としてA代表で不動の板倉と冨安の名が挙がった。前回21年の東京五輪でも活躍した2人は欧州5大リーグの強豪で、より磨かれており、経験が安定感に直結するCBでは日本最上級。指揮官の「皆さんが期待しているような名前は当然リストにある」の言葉とも合致する。

同じ守備陣の町田と伊藤もリストに入っている。ともに左SBを兼務できることが魅力。登録人数が予選の23人から本戦で18人に絞り込まれる中、複数ポジションをこなせるかどうかは近年の五輪で必須要素で、特に町田は鹿島時代に大岩監督の薫陶を受けている。

世界屈指のボランチとなった遠藤を招集する案もある。リバプールで世界屈指の過密日程に向き合う男の選出は容易ではないが、森保ジャパンの主将は今や欧州で顔が利く存在。リオデジャネイロ、東京に続く日本史上初の3大会連続五輪が実現すれば、一気にセンターラインが増強される。東京で吉田麻也がA代表と五輪の主将を兼ねた例もある。

一方、障壁となるのはクラブとの交渉だ。選手の移籍が絡むと難易度が増す。板倉や町田は今夏のビッグクラブ挑戦がささやかれており、招集の拘束力がない五輪に向けて、協会欧州駐在員であるA代表とU-23の各代表担当者がコミュニケーションを取り続けている。

移籍があった場合、選手には新天地の定位置争いが待つ。五輪、W杯の後にクラブで冷遇された例も珍しくない。8年前のリオ五輪では、有力候補だったMF清武弘嗣が欧州リーグ王者のセビリアに移籍。水面下で断られた。遠藤も、今夏はクロップ監督の後任の信頼を勝ち得る立場になる。

東京五輪のOA枠は5月20日に発表された。6月にはOA込みの海外遠征プランがあり、最終予選が異例の5月までずれ込んだ今回は、出場権の獲得と交渉が同時に最終局面を迎える。

 

○… 攻撃陣は23歳以下のパリ世代を育てる方針という。既にA代表で主力を張る久保は、飛び級で参戦した東京五輪で全6戦に出場して3得点も、メキシコとの3位決定戦に1-3で敗れて号泣した。「次こそメダル」の思いが強く、A代表最優先のため1度も大岩ジャパンには参加できていないが、同じ01年生まれ以降の仲間と雪辱したい構えだ。 協会は3月までのA代表期間中に、久保の意思確認を終えており、結果は出場を希望。大岩監督も「行きたいと本人も言っている。あとはクラブ。理解してくれるかどうか」と明かしており、うわさされるRソシエダードからのビッグクラブ移籍が鍵を握りそうだ。 10番を背負ってきた鈴木唯は、ブレンビーで直近6試合6得点4アシスト。斉藤光毅、三戸舜介のスパルタ組やボルシアMGの福田獅王も含め、今回の最終予選に招集できなかったアタッカー陣を本大会では並べられるよう交渉を進める。

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