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“厳秘”「平成・令和」改元公文書を読み解く 黒塗りの下には何が…

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「秘扱い」と記された「平成」経緯文書=東京都千代田区で2024年4月25日午後7時38分、樋口淳也撮影
「秘扱い」と記された「平成」経緯文書=東京都千代田区で2024年4月25日午後7時38分、樋口淳也撮影

 令和改元から5月1日で5年を迎える。元号は国民生活に密着し、令和も既に定着している。ただ、選考過程を政府は明らかにしていない。35年の時を経て既に歴史となりつつある「平成」も、開示された記録はいまだ核心部分が「黒塗り」だ。考案者は秘匿されたままで、議事録なども残されていないことが判明した。

「平成」経緯文書いまだ「黒塗り」

 元号選定事務上の支障が生ずるおそれがあることから、不開示とした――。1989年1月に元号を平成に改めた経緯の記録文書「『平成』改元に係る事務手続の経緯等関係資料」について、毎日新聞は今年3月に内閣府に情報公開請求した。当時の資料として開示されたのは89年起案のA4判92枚。「新元号の候補名に関する意見聴取について」などと題した10組の文書のうち3文書は「秘扱い」と明記されている。

 この3文書はいずれも大半が黒塗りだ。例えば「元号候補名考案者の選考及び委嘱について」と題された決裁文書には「決裁の上は、案の2のとおり考案者を決定し、候補名の考案を委嘱してよろしいか」などと記述されているが、「(案の2)」と書かれたページを見ると「(氏名)」「(年齢)」「(現職等)」との表記はあるが半分以上は黒塗り。続く「(参考)」と題されたページは「氏名」「現職等」「略歴」「著書」と項目立てられた表が記載されているとみられるが、表の中身は黒塗りだった。

 衆参正副議長や全閣僚に元号案を説明した際に用いられたとみられる文書には、全体が黒塗りのページがそれぞれ4ページ添付されていた。関係者によると、元号案の数などを推定されないよう、文書内のけい線などレイアウトも含めて「全部消している」という。

何が書かれているのか

 黒塗りの下には何が書かれているのか。開示決定の通知書には、黒塗りとした理由について、考案者名や年齢、職名などは個人情報である▽新元号原案、新元号案の個数や、それを推測できる文書の様態を公にすると考案者が類推され個人の権利利益を害するおそれがある▽将来の改元の際、改元後に氏名や考案した案が公表、類推され批判を受けることなどの懸念によって元号選定事務上の支障が生ずるおそれがある――ことを挙げる。考案者や元号案が記されているのは確実だ。

 平成改元時は、山本達郎・東京大名誉教授(東洋史)の「平成」、宇野精一・東京大名誉教授(中国哲学)の「正化」、目加田誠・九州大名誉教授(中国文学)の「修文」が、最終3案に残ったと報じられた。

 資料の内容を知る立場にあった複数の政府関係者は、黒塗りの下に…

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