検出相次ぐ「永遠の化学物質」 欧米で規制強化の動き 日本は…

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有機フッ素化合物の一種「PFOA」の粉末=原田浩二・京都大准教授提供
有機フッ素化合物の一種「PFOA」の粉末=原田浩二・京都大准教授提供

 分解されにくいことから「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(PFAS)。米国は今月、飲み水に含まれるPFASについて、初の法的規制値を決定した。日本でも河川などから検出が相次ぐが、健康影響や規制値を巡る議論には欧米と差があるようだ。

製造・輸出入禁止も続く環境汚染

 PFASは1万種類以上あるとされる物質の総称で、中には水や油をはじく、熱に強いといった特性を持つものがある。PFASのうち、代表的なPFOSとPFOAという物質は、食品の包装紙や布地のはっ水加工、焦げ付きにくいフライパンや半導体の製造工程、泡消火剤など、日用品から産業用途まで幅広く利用されてきた。

 だが、一度生物の体内に取り込まれると蓄積されやすいことなどから、国内では2010年にPFOSの製造・輸入を原則禁止して以降、徐々に規制の対象を広げてきた。一部は発がん性があると指摘され、有害な化学物質を国際的に規制する「ストックホルム条約」でも09年にPFOS、19年にPFOAを規制対象に加え、国際的に製造や輸出入が原則禁止されている。

飲み水の基準、米国は値を大幅引き下げ

 ただし、環境中に出てしまったPFOSなどは長く残り続ける。米国では州政府などが水道水や環境を汚染した製造企業の責任を問う訴訟が広がっている。

 米環境保護局は今月10日、PFOSとPFOAの飲み水の濃度の上限を各1リットルあたり4ナノグラム(ナノは10億分の1)と決めた。米国のこれまでの基準は合計70ナノグラムで、人の健康影響についての最近の疫学研究を重視し、値を大幅に引き下げた。他の三つのPFASも規制対象に加えた。

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