日舞パフォーマーで歌手の花園直道(35)が4月18、19日に、東京・明治座で初座長公演「花園城だよ!全員集合」を開催した。芸能生活20周年記念公演で、数多くの歌手や舞台仲間が出演した。2日間3公演はいずれも満員で、大成功だった。

2部の「THE DREAM SHOW 風雲!花園城」は、まさに20年間の集大成だった。オープニングは、数秒で連続する衣装の早替わりで、観客を一気に引き込んだ。

「和のエンターテインメント」を追求する花園らしく、和太鼓や三味線などの演奏で踊るパフォーマンスは圧巻だった。和と融合させて踊るマイケル・ジャクソンメドレーは花園の代名詞でもあり、観客は世代を超えて魅了された。自らも津軽三味線を演奏し、喝采を浴びた。

花園を初めて取材したのは11年前の13年10月で、花園が25歳の時だった。まだまだ知る人ぞ知る存在で、東京・渋谷の小さなスペースで踊っていた。目をキラキラと輝かせ、夢や目標を語ってくれた。

中学時代、「日舞の稽古して、なんかこいつ変だぞ」と言われた。「なんで日舞を男がやっちゃいけないんだ。日本舞踊を分かりやすく表現したい。古典の固いものばかりやっていては分かってくれない。みんなが『日本舞踊っていいじゃない』と分からせたい」と決意した。

大衆演劇の劇団に入り、修業した。舞台は健康ランドばかりで、みんなが休憩している仮眠室で踊ったこともあった。18歳で独立し、花園直道として日本舞踊をベースとしたダンスパフォーマンスの確立を目指した。キャッチコピーは「邪派新姿(ジャパニーズ)」。古典舞踊としては邪道で派手な、和洋折衷の無国籍の新しい姿、という意味を込めた。

「日本舞踊は日本を代表する文化です。歌舞伎とは違った手段で、もっと見やすく分かりやすくしたい。それが私の使命と思っています」。

それから10年。わずか観客十数人の、小さなステージで踊っていた花園は、約1400人を収容する明治座を連日満員にした。

アンコールで「人生一路」(美空ひばり)を歌った。花園の定番曲である。

「一度決めたら 二度とは変えぬ これが自分の生きる道」。

明治座の舞台を前後左右に全力で駆け巡りながら、歌った。1階観客席を貫く花道も駆け抜けた。華やかな芸の道を実直に生き続けるが由来の芸名「花園直道」を体現した瞬間。舞台上で涙を拭った。

大きな目標、夢がある。「いつか、日本舞踊や民謡、三味線、和太鼓、演歌、着物のファッションショーなど、和をテーマとしたビッグフェスを日本武道館で開催したい。世界が注目している日本文化を、あらためて国内に発信したい。花園城は今はまだ小さな城かもしれないけど、大きな城に築き上げ、全国統一したいです」。

和の伝道師として、ますます飛躍するだろう。【笹森文彦】