仏海軍の原子力空母、NATO演習に初参加 “米への属国化”批判も

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航行するフランスの原子力空母「シャルル・ドゴール」=仏南部トゥーロン沖で2021年6月、ロイター
航行するフランスの原子力空母「シャルル・ドゴール」=仏南部トゥーロン沖で2021年6月、ロイター

 フランス海軍の原子力空母「シャルル・ドゴール」が26日、北大西洋条約機構(NATO)軍の合同演習に初めて参加した。シャルル・ドゴールは米国以外が保有する唯一の原子力空母で、防衛の独立を志向する伝統があるフランスでは、米国主導のNATOの指揮下に入ることに批判も出ている。

 合同演習は東欧での有事を想定し、地中海で5月10日まで実施される。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月以降では最大規模で、加盟国が作戦時の連携を向上させる狙いがある。フランスのほか、イタリア、スペイン、トルコなどの艦船20隻が参加する。シャルル・ドゴールは全長約262メートル、全幅約64メートルの大型空母で、ラファール戦闘機など40機を搭載する。

 フランスは第二次世界大戦後、独立独歩の外交、安全保障を目指し、核軍備はその要となってきた。米国の欧州への関与拡大を嫌うドゴール大統領(当時)が1966年、NATOの軍事機構から脱退し、サルコジ政権の09年に復帰した歴史がある。01年に就航した原子力空母はドゴール氏の名を冠し、仏独自の安全保障政策の象徴だっただけに、今回の演習参加には反発の声が上がる。

 極右政党「愛国党」のフィリッポ党首はX(ツイッター)に「信じられない。フランスのNATO、すなわち米国への歴史的服従だ」と投稿した。急進左派「不服従のフランス」創始者のメランション氏も「悲嘆。公然の属国化」と書き込み、批判した。【ブリュッセル宮川裕章】

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