社会人に求められる資質・能力はいつ育てる? 「大学では遅い」理由

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溝上慎一さん=横浜市青葉区で2024年4月5日午後6時40分、深津誠撮影
溝上慎一さん=横浜市青葉区で2024年4月5日午後6時40分、深津誠撮影

 主体的、対話的で深い学び(アクティブラーニング=AL)や大学改革の研究を通して、大学生や社会人に求められる「資質・能力」を育成するには「大学からでは時すでに遅し」。そう訴えてきたのは、AL研究の第一人者、溝上慎一・元京都大教授(54)=学校法人桐蔭学園理事長=です。教育学からみてそうした資質・能力はいつ、どのように育てるべきなのかを聞きました。

大学以降では挽回しにくい

 ――大学から資質・能力を育てるのでは遅いことを示す調査があるのですか。

 ◆私は、子どもを学校から社会・仕事へ送り出す「トランジション(移行)」を研究テーマの一つにしていますが、学校教育が社会に出たときにどう役に立つかを調べた研究は多くありませんでした。

 京大准教授だった2013年から河合塾と連携し、当時の高校2年生を21年まで追跡調査しました。全国378校、約4万5000人を対象に調査を始め、高2、大学1~4年、社会人3年目の計6回分について資質・能力の推移を調べました。

 具体的には「他者理解力」「計画実行力」「コミュニケーション・リーダーシップ力」「社会文化探究心」の四つです。「非認知能力」とも言い換えられます。

 6回とも協力が得られたうちの1457人の回答を分析すると、予…

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