東映京都撮影所で俳優・刺青絵師として40年以上活動してきた、毛利清二氏(94)の、刺青絵の展覧会「毛利清二の世界 映画とテレビドラマを彩る刺青展」が、京都市中京区のおもちゃ映画ミュージアムで1日から開催する。

毛利氏は「昭和残侠伝」シリーズ(4作目以降)、「緋牡丹博徒」、「仁義なき戦い」「遠山の金さん」の各シリーズなど、東映やNET(現テレビ朝日)の時代劇、任侠(にんきょう)映画で刺青絵を描いてきた。独自に編み出した技術と特殊な絵の具によって、高倉健さんや鶴田浩二さん、松方弘樹さん、藤純子(78)松平健(70)高島礼子(59)ら刺青を描いたスター俳優は150人以上、のべ2000人以上の俳優に上る。

「毛利清二の世界 映画とテレビドラマを彩る刺青展」では、東映太秦映画村・映画図書室が協力した毛利氏による刺青下絵、東映株式会社、東映太秦映画村、山本芳美氏ほかが所蔵する写真、脚本、ポスターなどを、映像も交えて2期にわけて展示。1960年代から2000年代にかけての時代を象徴する映画・テレビ時代劇ならびに映画産業の一級資料であり、毛利氏の活動を俯瞰(ふかん)する貴重な企画展となる。

「遠山の金さん」シリーズに主演した高橋英樹(80)が東映を通じてコメントを発表した。

「日活にいたころから毛利清二さんの描く刺青の美しさに引かれていました。毛利さんの刺青は他の誰よりも秀逸で、まるで着物の図柄のような繊細なデザインと鮮やかな色使いは研究熱心な毛利さんならではのものでした。任侠(にんきょう)映画が全盛期の1960年代~1970年代は安保闘争が起き、人のために命を落とすことを美徳とするような空気感が社会にありました。任侠(にんきょう)映画はそのような時代背景の中で生まれ、登場人物の背中に描かれた刺青は、弱きを助け強きをくじき、義のためには命も惜しまないといった生き方の象徴だと思います。現代の若者には考えられないような生き方かも知れませんが、映画の中の刺青に古き良き日本を感じますね。この展覧会で日本の伝統的文化ともいえる『映画の刺青絵』を多くの皆さんに見てもらい後世に残すことができたら、とても素晴らしいことだと思います」

開催期間は、第1期が5月1日~6月16日までで、60年代、70年代の映画、第2期が同19日~7月28日までで、80年代以降の映画を紹介。通期で、テレビドラマ作品も紹介する。開催時間は午前10時半から午後5時までで月曜・火曜は休館。入場料は1000円(支払いは現金のみ)で18歳未満の入場は不可。