「子持ち様」批判の歴史は繰り返す 50年前はベビーカー禁止

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藤田結子・東京大大学院准教授
藤田結子・東京大大学院准教授

 幼い子どもを持つ親がSNS(ネット交流サービス)で「子持ち様」と批判される現象はなぜ起きるのか。1児の母で、働きながら子育てをする女性たちを調査する東京大大学院の藤田結子准教授(社会学)は「子連れの人への批判は今に始まったことではありません」と指摘する。

 「子持ち様」批判を巡る専門家へのインタビューを全3回でお届けします。
 1回目 SNS、少子化、共働き 批判のわけ
 2回目 歴史は繰り返す 50年前はベビーカー禁止
 3回目 女性の間に分断 安藤優子さんの見方

「ベビーカー様」批判

 幼い子どもを持つ人は以前から批判にさらされてきました。その時々の批判はいずれ風化しますが、時間がたち世代交代が進むと少しずつ形や言葉を変えて似たような批判が繰り返し出てきます。

 例えば、最近でもベビーカーを押す人のことを「ベビーカー様」とやゆする風潮がありますが、公共空間で使うことの是非は50年前にもありました。国鉄や鉄道各社は1973年、「ベビーカーは危険で他のお客さまの迷惑になる」として、ベビーカー乗り入れ禁止のポスターを東京都内の駅に掲示しました。当時は今よりも電車内の混雑が激しく、安全確保が理由でした。

 また、このころ相次いだデパート火災でベビーカーが避難の妨げになったとして、東京消防庁は同じ年、各デパートにベビーカーの使用禁止を求めました。社会的弱者である女性の解放を目指…

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