オリンピックとは何なのか 再開発も立ち退きも、実像見抜く「試金石」
毎日新聞
2024/4/27 06:30(最終更新 4/27 15:31)
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「ジェントリフィケーション」
一般にはあまりなじみのない言葉だが、都市の再開発および、それに伴う地価の高騰、低所得者の立ち退きなどの現象を指す。高級化とも訳される。オリンピックを理解する上で重要な言葉のはずだが、振り返れば、真正面から向き合ってきたとは言えない。開幕まで100日を切った今夏のパリ五輪を前に、一人の専門家を訪ねた。
2月末、東京都豊島区のジュンク堂書店池袋本店。森千香子・同志社大教授(51)の著書「ブルックリン化する世界――ジェントリフィケーションを問いなおす」の刊行記念イベントがあった。
森さんは「ジェントリフィケーションは日本語でも説明の難しい言葉。編集者からはサブタイトルとして長過ぎると言われた」と苦笑しつつ、こう述べた。
「ジェントリフィケーションとは三つの変化が同時に起きること。再開発でまちの景観が大きく変わること、土地の値段、地価が急激に上がること、まちの住民や利用者の属性が大きく変わること」
繰り返される光景
記者がこの言葉を知ったのは、2016年リオデジャネイロ五輪の頃だ。初めての五輪取材だった。海外発の記事を読み、意味を調べたが、本当に理解していたとは言い難い。
開幕2カ月前に現地入りした時のことだ。…
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