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米国のブリンケン国務長官は26日、北京の人民大会堂で中国の習近平国家主席と会談した。中国国営メディアによると習氏は「両国はライバルではなくパートナーであるべきだ」と述べ、ブリンケン氏も各分野での交流の進展に期待感を表明した。一方でブリンケン氏は王毅共産党政治局員兼外相との会談では、中国によるロシアの防衛産業への支援などについて強い懸念を示し、台湾や南シナ海問題など安全保障分野での議論は平行線をたどった。
習氏に先立ち、ブリンケン氏と会談した王氏は「中米関係は対話が増えつつあるが、マイナスの要因も積み上がっている」と述べ、経済・安全保障の分野で対中圧力を強める米国に不快感を表明。「中国と米国が安定と前進という正しい道を堅持するか、それとも下降スパイラルを繰り返すかは、両国が直面している重大な問題であり、双方の誠意と能力が試されている」と強調した。
一方、ブリンケン氏は「対面での外交に勝るものはない。誤解や誤算を避けるために、互いの相違点がどこにあるのかを明確にする必要がある」と指摘。中国製の原料が使われているフェンタニル(合成麻薬)や軍同士の関係、人工知能(AI)のリスクに関し、米中間で協力の進展が得られることに期待を示した。
米国は中国がロシアの防衛産業を支援していると見ており、軍事転用が可能な半導体などのロシアへの輸出をやめるよう王氏に求めた。
台湾では5月20日に中国が独立派とみなす民進党の頼清徳新政権が発足する。ブリンケン氏は中国が挑発的な行動を取らないよう促したほか、南シナ海での領有権争いで中国がフィリピンに威圧的な行動を続けている問題でも自制を要求した。
王氏は「台湾問題は中米関係において、越えてはならないレッドラインだ」と米国が台湾に関与しないよう改めて要求。また日米比の協力強化や米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本の協力検討といった動きを念頭に、「アジア太平洋地域を大国の戦場としてはならない」とけん制した。
また、米欧などが批判を強める中国政府の補助金を受けた安価な電気自動車(EV)や太陽光パネルの過剰生産問題なども議題となった。
ブリンケン氏は26日午後の記者会見で、AIのリスクの管理などに関する両国による初めての会合が近く開催されることも明らかにした。
ブリンケン氏の訪中は2023年6月以来、10カ月ぶり。24~26日の日程で上海、北京を訪問し、上海市では市トップの陳吉寧市党委書記とも会談した。上海市の書記は、かつて習氏や李強首相も歴任したポストで、陳氏も将来、最高指導部入りする可能性も取り沙汰されている。【北京・岡崎英遠、ワシントン松井聡】
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